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Vol.66 JIRO WEBインタビュー

近年最も実験的要素が強いツアーなので、
みんなのキョトンは想像できた。
でも俺達はその違和感を楽しんでいて、
新しいGLAYのスタイルに自信を持って臨んでいる

『GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”』(※1)も後半戦に突入しました。ツアーで実際にアルバムの音を出してから、自分の中でのアルバムの捉え方というのは変わってきましたか?

JIRO:妙に緊張する場面もなくて、それはすごく自由に、リラックスして作ったアルバムだからかもしれません。レコーディングすることも自然な事だし、ライヴはやっぱり特別ですが、そんなに気合を入れすぎていないというか、自然な形で生活していく中で、テンションの高低差があまりない、安定した感じでできている気がします。「聖者のいない町」(※2)とか「あなたといきてゆく」(※3)とかナーバスな曲は、今までだったら緊張しまくって、間違ったらどうしようっていう感じでやっていたと思いますが、今はもっとリラックスして演奏できています。

アルバムの世界観をライヴで初めて披露した初日は、どんな手応えでしたか?

JIRO:これだけ盛りだくさんの内容で、僕らの中でも実験的要素が近年の中でも一番あったツアーなので、たぶんみんなキョトンとするんだろうなというのはあって。それが良くても悪くても、今までと違ったから嫌だったということだと思うんですよ。今までと同じ事をやっていて嫌だったって言われたら考えものですけど、今までやった事がなかったことをやって、嫌だったって言われたら、それはその人に合わなかっただけかもしれないし。俺たちがアクションを起こさないと、何も変わらないと思うので。僕は直接聞いていませんが、色々な方からもう少しこうした方がいい、ああした方がいいんじゃないかという意見があるみたいですが、その意見ももちろん参考にはさせていただきますが、俺たちはその違和感を楽しんでいるんです。そうハッキリ言えるくらい、今自信を持ってスタートしているので、新しいGLAYのスタイルを見せる事ができれば、このツアーは大成功だと思っています。

ツアーが終わると、年の瀬の空気が一気にやってきそうですが、今年はアルバムの発売も含め、いつも以上に動いたという感じがしますか?

JIRO:そうですね、色々なタイプのライヴをやりましたね。お台場でのフリーライブもそうですし、「レッドブル」のイベント(※4)、BREAKERSと対バン(※5)をやったり。春先にやったホールツアーも片ひじ張らず自分達らしくできたし、アリーナでやっても自分達らしいスタイルがどんどんできあがってきていると思います。カッコつけている部分ももちろんあると思いますが、カッコつけていることに無理していなというか、TERUならTERUのキャラ、僕なら僕のキャラ、TAKURO、HISASHのキャラというものが、無理せず出ている気がしています。

本当に自由に、やりたいことをブレずにやっているカッコよさがあります。

JIRO:今回僕がセットリストを作って、HISASHの曲が『SUMMERDELICS』(※6)の中でも個性が強いので、だったら前半にHISASHの曲を固めて構成してみようと思って。映像も大型ビジョンにスタッフは本当はメンバーを映したかったかもしれませんが、それじゃつまらないと思って、背景がステージセットみたいな感じでどんどん変わっていくライヴにしました。例えば古代ローマ、ハワイの浜辺だったり、全部作り映像にしたのは、曲によって世界観が変わっていって、それと共に曲の振り幅が広がって欲しいと思ったからです。そうしたらHISASHが「だったらこんなことやりたい」、TERUも「こんなことやりたい」というアイディアが出てきて、どんどん世界観が広がっていったというか。

今回のツアーのセットリスト、構成も含めての構想は、アルバムを制作期間にはもう頭の中にあったんですか?

JIRO:いえ、今回は春のホールツアーの合間に、移動時間とか前乗りした時に時間があったのでそこで考えて、5月中旬頃にはできていました。夏休みを挟んでから曲出しをすると、みんな練習するのも大変なので、その前にプレゼンをしておいて、スタッフにもある程度アイディアを話しました。僕は終演後に皆さんに書いてもらったアンケートを全部読んでいるのですが、それを参考にしたり、聴きたい曲ランキングみたいなのものがあって、それを毎回チェックするのが好きなので、過去のデータも色々出してもらって、実際この曲をやったらどんなリアクションがあるかなとか、色々想像しながら構成を考えました。

『SUMMERDELICS』というトリッキーなアルバム、そしてそのツアーの期間中にいわゆるGLAYらしさ満載の「WINTTERDELICS.EP~あなたといきてゆく~」がリリースされますが。

JIRO:HISASHIが「太鼓の達人」(※7)のサウンドを取り込んだ「シン・ゾンビ」(※8)を作ってきた事によって、相当トリッキーなアルバムになったと思います。そういう事もあって、「あなたといきてゆく」は、このアルバムではないよねっていう判断を、TAKUROがしたと思います。サイケデリックなアルバムがあって、それでワーって夏休み盛り上がって、ひと段落したところでじっくり聴いて欲しいという気持ちがたぶんあったのだと思います。

「あなたといきてゆく」は冬の匂いがして、冒頭の<年が明けたら結婚しようよ>というひと言が強烈で印象的で、結婚ソングとしては「ずっと2人で…」という名曲がありますが、レコーディングでは「ずっと2人で…」の雰囲気に引っ張れるという事はありましたか?

JIRO:ベースというパートは、レコーディングする時、あまりビジョンが決まっていない状態でもまずは作ってしまわなければいけないので、歌詞に引っ張られたり、過去曲のノリに引っ張られたりという事は、昔も今もあまりないですね。その曲のなんとなくのイメージとかメロディの良さ、キーワードとして引っかかってくる言葉がいいなとか、そういう感覚で作り上げていくしかないんですよね。冬の匂いみたいなものってこんな感じだよねっていうのは、メンバーの中では共通している部分だと思います。

この曲をライヴで演奏している時の、お客さんの反応はいかがですか?

JIRO:この曲はベースのフレーズがちょっと派手なので、正直お客さんを見ている余裕はないんですよね(笑)。ただ終演後のアンケートを読んでいると、本当にこの曲の人気は高いですね。待ってました、これこそTAKUROメロディ、みたいな感じで。やっぱり『SUMMERDELICS』でワンクッションあったからこそ、TAKUROの曲が聴きたかったという感じはありますね。

来年のGLAYはどうなりそうですか?

JIRO:3月の台湾ライヴは決まっていますが、そのほかは今練っている最中ですが、動きは止まらないと思います。この2年くらいかけて、ホールツアーを3ツアーにわけてやって、それぞれ約20本くらいで、期間に余裕を持ってそういうツアーをやっていると、あっという間に2年が過ぎていきました。でもそういうツアーをやりたいんですよ。アリーナツアーとか、大型ライヴばかりではなくて、ちゃんと自分たちの方から、今まで行った事がない街や、なかなか行けない場所に足を運んだり、そういう事がすごく大切だと思っていて。そういうツアーがあって、僕自身も「lifetime」(※9)という曲が生まれたし、色々な事に気づかされます。この前、このツアーと並行してやっているホールツアー『AUTUMNDELICS』(※10)で福島県(とうほう・みんなの文化センター)に行きましたが、ものすごい盛り上がりでした。本当にとんでもない大きさのアンコールの声で、本当にありがたかったです。

GLAYの事は知っているし、曲も聴いたことがあるけど、まだライヴを見たことがないという人もまだまだたくさんいますよね。そういう人達にこちらから会いに行くというのは、すごく大切な事ですよね。

JIRO:僕らは活動を止めることなく、その活動の軸足はライヴなので、どこへでも行きたいと思っています。移動とホテル生活は苦手ですが(笑)。でも最近は若いファンが来てくれるようになって、ファンの幅が広がるのはすごく嬉しい事です。だから、よりいいライヴを観せたいという気持ちがますます強くなっていて、極端な事をいうと、今ツアー中ですが、楽しい事っていうのを、ライヴの2時間半だけに集中させたいなと思っていて。それ以外、平日とかはとにかく力を溜めておいて、それをライヴで一気に爆発させるという感じ。それができたらすごくいいなと思っていて。さっき出た福島も、仙台もそうでしたが、最近のライヴが本当に一番自分のテンションが高いなと思っていて、それを継続していきたいですね。

※1:『GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”』
2017年9月から12月にかけて全国23公演が開催されているアリーナツアー。12月23日・24日で『GLAY ARENA TOUR 2017 “HAKODATE WINTERDELICS”』も開催される。

※2:「聖者のいない町」
2017年7月12日リリースのアルバム『SUMMERDELICS』収録のロックゴスペルナンバー。BSテレビ局・Dlife(ディーライフ)にて放送される『マクガイバー』エンディング曲。

※3:「あなたといきてゆく」
2017年11月22日リリースのシングル「WINETRDELICS.EP~あなたといきてゆく~」収録の表題曲。TAKURO作詞・作曲による壮大なバラード。

※4:「レッドブル」のイベント
2017年6月2日、Red Bull Air Race Chiba 2017大会会場(千葉県立幕張海浜公園)内特設ステージ(LIVE DAM STADIUM)で開催されたGLAYのライブ。『SUMMERDELICS』収録曲「XYZ」はRed Bull Air Race Chiba 2017テーマソング。

※5:BREAKERSと対バン
2017年4月29日、Zepp DiverCityで開催された「BREAKERZ 10周年 10番勝負 -VS-」にGLAYが出演。

※6:『SUMMERDELICS』
前作より2年8ヶ月ぶりとなるGLAYにとって14枚目のオリジナルアルバム。2017年7月12日(水)発売。7月24日付けオリコン週間CDアルバムランキングで1位を獲得した。CD Only盤、CD+2DVD盤、5CD+3Blue-ray+グッズ盤(初回生産限定・豪華BOX仕様のG-DIRECT限定Special Edition)の3つのバージョンが発売された。

※7:「太鼓の達人」
バンダイナムコから発売されているゲーム。

※8:「シン・ゾンビ」
『G4・IV』収録のHISASHI作詞・作曲の楽曲「彼女はゾンビ」をもとにアップデートされた。14thアルバム『SUMMERDELICS』収録。ゲーム「太鼓の達人」タイアップソングで、ドンちゃんの声優ならはしみきも参加している。

※9:「lifetime」
JIRO作詞・作曲による楽曲。『SUMMERDELICS』収録。

※10:ホールツアー『AUTUMNDELICS』
『GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”』の合間に開催されたホールツアー3公演。