TAKURO+TERU×鈴木直道夕張市長 昨日から明日へ。夢を語ろう
TAKURO+TERU×鈴木直道夕張市長
昨日から明日へ。夢を語ろう
Profile
鈴木直道(すずき・なおみち)夕張市長
1981年3月14日生まれ・埼玉県出身。2008年、東京都職員時代に北海道・夕張市へ派遣。2011年4月、30歳1か月の全国最年少市長に就任。日本で唯一の財政再建団体である夕張市の再建に取り組んでいる。
《2006年、北海道・夕張市の財政破たんを伝えるニュースを見たTAKUROは、いてもたってもいられず夕張へと向かった―。以来、ライブやテレビ収録、ラジオの公開録音などで夕張を毎年訪れて交流を深めながら、TERUらメンバーとともに積極的に夕張再建に向けた支援を行っている》
TAKURO 縁があって、夕張に毎年来させていただいていますが、6年目の今年は鈴木市長とお話ししたくて伺いました。自分たちは夢を持って函館から上京して、未だ夢の途中にいるわけなんですが、鈴木市長がどんな夢を持って夕張の市長になろうと決意したのか、そしてこれから夕張でどんな夢を描こうとしているのかをぜひ聞かせてください。
鈴木市長 26歳の時に初めて夕張へ来て、いま31歳ですから、20代の後半は夕張が何らかの形で私の人生にかかわっていることになります。東京都から派遣されて夕張市役所で働いたのは2年2か月でしたが、その間に夕張の現実や問題と向き合って、地元のみんなと話し合いをし、時にはお祭り騒ぎもしました。その後、東京へ戻ってからも、あの人元気かなとか、どうしても夕張のことが気になって。で、いろいろ悩んだ結果、一度きりの人生を夕張再建という夢に懸けてみようと思ったんです。
TAKURO 市長になる決意をした時、背中を押してくれた人はいたんですか?
鈴木市長 みんなからバカだと言われました。上司だった石原慎太郎都知事に話をした時には、開口一番「とんでもない勘違い野郎だ」と。初めは怒られたと思ったんですが、その後で、「最近、勘違いする若者が少ない。最初は勘違いでも、チャレンジしなければ何も生まれない」と言っていただきました。
TAKURO 分かります。勘違いは時にパワーにもなりますから。近頃、やりたいことが分からないという若者の声を聞くたびに思うのは、誰にでも好きなことは絶対あるはずだって。要は、リードしてくれる大人が周りにいるかどうかが大きいと思うんです。自分たちも函館でバンド活動していて、東京でプロになりたいという夢は周りの人たちにはなかなか理解してもらえませんでした。でも、当時の函館にはバンドシーンをものすごく応援してくれる大人が多かったんですよ。最終的には送り出してくれた親や、周りの大人たちの支えや理解がなかったら、上京していないんじゃないかと思います。
TERU 人と人とのアツいかかわりが、鈴木市長が夕張再建という夢に人生を懸けようと決意した原動力なんでしょうね。オレたちが夕張に毎年来るようになったのも、人との出会いが大きい。改めて考えると、自分が音楽をやる理由も、周りの人たちを幸せにしたい、笑顔にしたいという思いが根本にある。
TAKURO 最近、TERUがステージから「みんなが夢を持ってくれることが、オレたちの夢なんだ。だから、夢見ていこうぜ」ってメッセージを送る時、なるほどなって思う。
《TERUは、夕張で出会った市職員の一人からこんな話を聞いた。「自分には夢がある。それは、夕張が借金を返し終わる18年後、庭に植えた桜の木の下で酒を飲むこと」。その夢を一緒に見たいと思い、「オレたちは18年間、毎年必ず顔を見せに来ます。だから、18年経ったら、あなたの家で花見をやろう」とアツい思いを伝えたという》
TAKURO 市長になって1年が過ぎましたが、どうですか?
鈴木市長 未だチャレンジ中です。人口減少、少子高齢化など課題は山積しているうえに、財政は厳しい。残念ながら、まちの存続のためには、市民に我慢をしてもらうことも多くなります。ですから、いまは夕張の将来についてとにかくみんなで話し合うことを大切にしています。人口が少ないからこそ、丁寧な説明ができるし、相手の話をじっくり聞くこともできます。
TAKURO しっかり話し合いをすることで、信頼関係も築かれる。人が自分の信念を曲げる時って、誰かの汗以外にないんじゃないかって思います。人生懸けて、命懸けて何かをやろうとしている人が目の前にいたら、じゃあ自分は、そのサポートに回ろうと思える。
鈴木市長 実は、夕張が抱えている問題は他人事じゃなくて、将来の北海道や日本の問題でもあるんです。今年7月から、再建に向けた国と北海道を交えての3者協議が夕張で行われます。どういう方法があるか、3者が真剣に話し合うことで、きっと新しい可能性が生まれてくると思います。
TAKURO 夕張は、まさに日本の縮図…。鈴木市長が夕張でやろうとしていることには、これからの日本にとっても大切なヒントがたくさんあるように思いますね。
鈴木市長 夕張は人と人とのつながりが強くて、問題があったらみんなで悩みながら何とかしたいと思っている人がたくさんいます。いまは真っ暗なトンネルを歩いている状態ですが、その先に希望の光が見えてくるように、できることを少しずつやっていきたいと思います。
TAKURO 来年はまたコンサートでGLAY4人揃って来られたらいいなと思っていますので、宜しくお願いします。しつこいとお思いでしょうが(笑)、夕張をこれからも応援させてください。