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TERU WEB INTERVIEW

7月9日発売の20th Anniversary 50th Single「BLEEZE~G4・III」にはメンバーが各1曲ずつを提供。4回連続で各メンバーによる自身の曲の解説、そして20周年、GLAY EXPOに対しての思いをお届けします。
第1回はタイトルソング『BLEEZE』を手がけたTERU。

★「BLEEZE」について
--3月におこなわれた記者会見でも多少質疑応答がありましたが、まず、どうしてTERUさん詞曲のシングルを作るのが、かくも面倒だったのか? という点から。

■TERU
(笑)。いちばんわかりやすくそれを説明するなら…いろんなバンドのヴォーカリストはソロ活動をやりますが、俺はやりたくないです。バンドが好きでバンドが楽しくて歌っているので、一人で詞曲を書きそれがシングルになり、それを歌うとなると、何か全部一人で背負っているような感じになるじゃないですか? そういうことはできればやりたくないし、得意ではないです。そういう人だからこそ、バンドの他のメンバーにサポートしてもらいながらもヴォーカリストとしてやってこれたんじゃないかなぁと。だからソロ活動をやりたいという気持ちも本当にないし、仮にそれをやってしまったらきっと面倒くさいんだろうなと。自分が表現したいことはGLAYを通して表現できるんで。

--自分でGLAYシングルを書いてしまうとソロに見間違われるというか、そういう心配ですか?

■TERU
いや、そういう事ではなくて、単純に得意じゃないです。特に自分を歌詞で表現するのが。過去にアルバムの中の1曲として、自分詞曲の楽曲は披露してきましたけど、言いたいことってすごくストレートに言っちゃう人で、ツイッターでもブログでもすぐに言ってしまうので、「こういうことを伝えたいんだ」ってことは楽曲にする前にすでに伝えちゃってるんです。だから、曲を作るのは好きですけど、詞を書くのは好きじゃないという以前に表現はもうできてる。そのことで事務所にいっぱい迷惑かけてきましたけどね(笑)。言ってみれば、人間性なんじゃないですかね? 楽曲にして歌う以前に、僕個人の言いたいことは、音楽以外の部分で言ってる。ものを作るときはバンドのみんなと一緒に作りたいというか。だから自分の楽曲もアルバムの中の1曲だったら嬉しいですけど。シングルって、より音楽として強いメッセージを持っているべきだと思うし。TAKUROがGLAYの代表曲となったシングルの数々を生み出してきて、その苦労を見ていたから「大変だな」って。TAKUROの苦労と責任を、俺は歌という部分で背負おうと思ったしね。そのTAKUROから「今回50枚目のシングルで、かつデビュー20周年で、TERUの曲がシングルだったらドラマティックじゃん!」と言われ、「うーん、はい、頑張ります」と。そのレベルですから(笑)。

--TAKURO楽曲はGLAYの歴史を作ってきたわけだしね。

■TERU
それと"GLAYブランド"になってますよね。どんな洋服もそうだと思うんですけど、誰が作ったか、仕立てたか? でそのブランドは決まるじゃないですか? GLAYブランドの大元にはTAKUROの作る詞と曲というのがあるんですよ。何か自分で表現したいなと思ったら、ギター1本持ってひとりでどこかに行って~それは例えばラジオのイベントだったりで~歌ってくる。そこで事足りるというか精神を保てるんです。東日本大震災の直後には、事務所に一言も言わずにひとりで東北に行って歌ってきたしね(笑)。

★20周年について
■TERU
氷室京介さんや布袋寅泰さんと同じステージに立てたこの5~6年が、20年の中でも自分にとっては密度が濃い。自分がなんで音楽をやってきたんだろう?って考えた時に、まあいろんなラッキーもあったんだろうし、いろんな努力もあったんだろうし、このメンバーやスタッフがいてくれたからってことも思いつつ、やっぱり自分が中学・高校時代に氷室さんや布袋さんみたいなカッコいいミュージシャンがいて、その人たちが今でもずっと頑張っている姿を見れたから自分も頑張れたんだと思います。いい曲ができたとかいいライブができたというのも重要だけど、それ以上に「音楽やっててよかった」と単純に思えたのは、憧れの人たちと同じステージに立てたことだった。

★EXPOについて
■TERU
震災以降、東北方面に出かけて行って色んな人達と触れ合ってきましたが、やっぱり"GLAYで音楽をやってほしい"という意見がとても強かったんですね。なので、今回は「EXPOを東北で!」ということになった。みんなが安心して集える場所として"ひとめぼれスタジアム宮城"に決まり、そこでみんなで笑顔になりたいと。だったら、どうしたらみんなで笑顔になれるか? と考え、そのひとつとして六魂祭とのコラボが決まったんです。お祭りって、みんな楽しくなるじゃないですか? そういうお祭りとEXPOが掛け合わさったらどんなミラクルが起きるのか?というところに賭けたいです。東北で6万人集まったイベントが今までないというところも挑戦しがいがあります。記憶とともに記録も出していこうというところで、東北初にして最大のライブ・イベントにしたいです。

<Review>
ワケもなく胸が踊る瞬間というものがある。例えば、眩しい夏の青空を見上げた時に、さしたる理由もなしにただ気分が高揚することがあるだろう。僕らは一挙手一投足に細かな疑問符を投げかけて生きていく傾向にあるが、「もっと理由なき高揚に賭けてもいいよ」と言ってくれる表現がある。それが、音楽である。TERUが50作目のシングル楽曲にして初めて作詞・作曲を手がけた「BLEEZE」は、"真夏の愛を抱きしめて 溢れるトキメキは恋の始まり"というリリック一節を携えている。どのワードも使い古された"過去の遺物"のような語句だが、TERUの内部から出てきた外連味(けれんみ)なきワードであり、それらが絶妙に爽やかなメロディに乗って歌われると、使い古された感は一瞬にして反転し、永遠の夏の眩しさへと聴く者を誘う。2番の歌詞になりJIROがスタッカート気味に弾く8分のベース・バッキングはワケもなく踊った心臓の脈動でもあろう。何度迎えても経験値によって色褪せない夏の眩しさは、GLAYの音楽の眩しさに似ていると思うのは、おそらく僕だけではないだろう。


インタビュー&レビュー:佐伯明