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TERU x 綾戸智絵対談

1月22日発売「月刊カドカワ x GLAY」から、綾戸智絵さんとTERUの対談の一部を転載。完全版は「月刊カドカワ x GLAY」でお読みいただけます。

――まずは基本的な質問ですけれど、お2人が影響を受けたボーカリスト、シンガーというと?

TERU:僕が最初に影響を受けたのは、氷室京介さんですね。客観的に見ても影響されているなと思われているぐらいですから。あのソリッドな佇まいと、触れるものを傷付けてしまいそうな危うさ。あと声質ですね、ハスキーなあの声。ちょうど中学3年生ぐらいでしたけど、音楽にハマる時期に存在感のあるBOØWYが出てきて、高校1年ぐらいで解散したんです。

綾戸智絵:私はジュディ・ガーランドとかフレッド・アステア。MGM映画全盛期のミュージカルやね。ジーン・ケリーとか、そんな人ばかり観て聴いてた。黒人音楽を聴いてると思われがちやけど、そんなに聴いてないねん。白人が多い。

TERU:でも、単身でアメリカに渡ってからは付き合う人は多かったでしょ?

綾戸智絵:それは多かったね。でも、ビング・クロスビーとかが好き。見える音楽というか、目で見ても楽しい音楽が好き。だから、ハリウッドの映画は好きやね、楽しかった。英語がスラスラッと出るねん。〝俺はこれで歌をやめる…〟とか〝女が去っていった…〟とか、画面を観ているうちに、字幕を読まなくてもセリフが分かる感じがして、家に帰ってもまねしまくっとった。マニュアル学問、全然ダメやからね。聴いてそこからいただいてくるタイプやから。映画の中の動きで、〝ウェル~〟とか言うてたら〝まあね~〟という感じやろなとか、身体で覚えてた。分からない時は〝カモン! ヘイ・メン!〟しか言わない、子どものころから(笑)。

TERU:恐ろしい子どもですね(笑)。

綾戸智絵:〝見た英語〟が身体に引っ付いているから。そういう英語が好きなのは、ミュージカルのせいかな。

TERU:そこから音楽に入っていったんですね。

――初めて買われたレコードは何でしたか?

TERU:僕はアニメが大好きだったので、アニメの主題歌がA面6曲、B面6曲入ったコンピレーションアルバムを買いました。『サスケ』という漫画が好きだったんですよ。それが入ったのを探したら『ルパン三世』も入ってて、これはお買い得だと。小学3年生ぐらいですね、初めておねだりしてレコードを買ってもらったんです。それまで音楽にあまり興味はなくて。テレビでアイドルとか『ザ・トップテン』を観て、鼻歌で歌うぐらいの小学生でした。なぜこうやって音楽に入ったのか、分からないな。

綾戸智絵:私は、2枚いっぺんに買うた。モンキーズ、トム・ジョーンズ。夕方、テレビ番組があるねん。『ザ・モンキーズ・ショー』、『トム・ジョーンズ・ショー』。小学校やったと思う。幼稚園の時に家にジャズがいっぱいあったけどね、サッチモ(ルイ・アームストロング)とか。でも、自分で買いに行ったのはトム・ジョーンズやと思う。

――小学生でトム・ジョーンズが好きな子って、いないですよね。

綾戸智絵:うん、テレビもみんなと全然ちゃうのを観てた。夕方6時半からテレビがあるから早く家に帰りたくてね。みんなが『ひょっこりひょうたん島』観ている時に、私は『トム・ジョーンズ・ショー』を観てた(笑)。トム・ジョーンズはカッコイイ。踊って歌うんやけど、毎回、ちょっとずつ歌がちゃうねん。それがええなあ。〝ラブ・ミー・トゥナ~イ〟ってサビでシャウトする。でも、別の日はあっさり歌う。「あれ? 今日はノッてないんや」とか。そういう気分が見える。

TERU:それは楽しいね。

綾戸智絵:毎回違うのは楽しいね。同じ曲でも毎回、違うのが面白かった。モンキーズはメンバーのデイビー・ジョーンズが男前やったから観てただけ(笑)。アイドル感覚。キャー、言うててん(笑)。観に行ったで~、モンキーズ。家出して武道館へ観に行った。小学生で新幹線乗って、財布にあと何百円残ってるかなとか。それで、ヒッチハイクして帰ってきた。

TERU:小学生で家出して? すごいな(笑)。

綾戸智絵:行動的でした(笑)。それからはいろいろ観ました。(大阪の)宗右衛門町の「クレイジーホース」というサパークラブに行って、フィリピンバンド観たりね。ビートルズとかのカバーやってたからね。本物じゃないけど、聴いてたな。

TERU:俺が小学校の時、おばさんがスナックをやっていて。そこで母が手伝いをしてたんだけど、おばさんが歌うシャンソンとかが聞こえてきたね。

綾戸智絵:音楽環境があったんやね?

TERU:いや、それは音楽環境というより、音楽が流れていただけで、興味があるわけじゃなかったから。でもステージに立つっていう意味では、月に4~5回、目の前で歌っている姿をお店で観てたわけだから、なんとなく憧れはあったのかもしれない。

――TERUさんの初めてご覧になったライブは?

TERU:俺は上京してすぐぐらいですね、プロのミュージシャンを観たのは。それはZI:KILL(ジキル)でした。函館に住んでいた時は、先輩や友達のライブをライブハウスに観に行く感じで、なかなかプロのミュージシャンを観に行く機会がなくて。高校時代にずっと好きだったので、いつかは生で観たいと思っていたんですけど、函館から東京にはなかなか行けないですから。

綾戸智絵:私もそれがアメリカに行ったきっかけやねん。本物を観てみたかった。

――観た時の印象は?

TERU:ギターのKENさんにずっと睨まれてました(笑)。最前列にいたんですけど、怖えーって。でも感動しました。当時はもう、プロになりたくて上京してましたから。自分も絶対にステージに上がりたいっていう気持ちで観てましたね。会場は渋公(渋谷公会堂)でした。まずライブハウスを満員にして、その後渋公、最後は武道館というのが当時のバンドブームの中での夢だったんです。それは好きなBOØWYが辿った道だったし。だから、東京ドームというのは夢の中にはなかったですね。でも、デビューして、X JAPANのライブを観させてもらった時は、「いつかはこういう場所でライブやれるのかな?」って、おぼろげながら夢を抱えてましたけど。


続きは「月刊カドカワ x GLAY」で
(取材・文=岡本明)