JIRO WEB INTERVIEW
7月9日発売の20th Anniversary 50th Single「BLEEZE~G4・III」にはメンバーが各1曲ずつを提供。4回連続で各メンバーによる自身の曲の解説、そして20周年、GLAY EXPOに対しての思いをお届けします。
第2回は『YOU』を手がけたJIRO。
★「BLEEZE」について
■JIRO
今回はいろんなタイプの曲が…「あっ、こんな曲GLAYにあったらいいなあ」って思うような曲が、僕のストックの中にあって。でも僕はすぐその場で作ることはなく、じゃあ次のアルバム作るぞ-って言って、締め切りまでにみんな作ってきてとTAKUROの号令が掛かってから作り出すんです。作曲期間としてはすごい短い。普段から自分でラジオをやっていることもあり、いろいろな音楽を様々に聴いていて、人のライブを見てもそうなんですけど、「こういう曲、気持ちいいなあ」と思う断片的なストックがある。「YOU」に関してはそういう意識があるわけでもなく、なんとなくできた曲だったんですよね。サビ前まではストックとしてあったんです。いつもiPhoneのヴォイス・レコーダにメロディのアイデアとかを録音しているんですけど、その断片を聴いて「この曲ちょっと膨らましたいな」と思った。AメロBメロをアコースティック・ギターで弾いていて、そのうちコード進行に任せるままに歌メロができてきて、で、それこそ歌メロが勝ったのかな? で、歌メロに合うコードを追っていった。そしたら面白いコード展開になって。僕の曲の中では"やや複雑な"コード展開の楽曲というか。僕の場合、もっと単純なコード展開の曲が多いんですけどね。TERUに仮の歌を入れてもらうときに、最近は何か適当な歌詞をつけるんですよ。それはほんと何も浮かばない時は、手塚治虫の漫画見ながらそこから言葉を拾ったりとか(笑)、言葉のハマりがいい、そういう言葉だけを入れておくだけなので、意味的には支離滅裂なんです。ハマりがいいということと、あとは日本語であるということぐらいで。そうしておくと、歌メロを覚えてくれるのも早いし、でも「YOU」に関しては曲の世界観がダークな感じだったので、3~4割ぐらいは最初の段階からすでに完成形に近い歌詞だった。どっちかと言ったら僕は曲を聴かせるために歌詞を書く人なのかなと思う。言いたいことがあってそれを曲にして伝えるというよりかは、曲を聴かせるために引っかかりのある言葉だとかを使うタイプだと思います。
★20周年について
■JIRO
密度が濃かった時代はやっぱり1996年から2000年くらいかな? 人気が爆発していく一方でいちばんきつかった時期でもありますね。あの時に戻れって言われたら絶対に嫌ですけど(笑)、でもあの時がなければ今のGLAYはないとも思うし、だからいい部分も悪い部分も両方あるという感じかな。
--去年函館でライブをやりましたけど、そのことで函館を出てからの年月を自分なりに振り返られるというようなことはない?「ああ、ここから出て行ったんだな」というような。
■JIRO
それはない。僕はそういうことを考えるタイプではないです。ただ何年か前に函館でイベントがあり、親戚のおじさんから「GLAY出てくれない?」と言われていて(笑)、結局僕らの"長居スタジアム・ライブ"と重なって出られなかったんだけど、本音としては今まで函館に貢献したことはなかったし、何か貢献したいなという気持ちはありましたよ。なので「GLAYの原点に戻るんだ。だから函館でライブやろう!」みたいなことでは、僕の中ではなかったです。「俺の死ぬ場所は函館です!」とかは思わないし(笑)。函館ライブに関してよかった点は、地元の人が「ああやっぱりGLAYって函館の人たちなんだ」と強く思ってくれたところですね。「函館出身かもしれないけど、今や東京の人になっちゃったでしょう」というんではなくてね。たぶん2回目になれば、もっといろいろなことがスムースに進むと思うしね。函館観光の活性化につながってくれたらなと。大人っぽい活動を近年やり始めてますけど、僕らの力が何かのプラスになって函館が盛り上がってくれたら、親戚のおじさんもたぶん喜んでくれると思うので(笑)。そういう地元のダイレクトな反応はGLAYの活動~例えばホールツアー~なんかにも影響していますよね。あとは僕ら自身が楽しみながらやっているかどうか? っていうところが重要ですよね? まあ、それができるかどうかはバンドの信頼関係にも関わってくるんだろうけど、GLAYは幸いにもそれができてると思う。
★EXPOについて
■JIRO
現状そんなに気負ってないです、まだ(笑)。あとライブの選曲に関してもおそらくベスト的なものになるだろうから…新曲やると緊張するので。演出面も企画の段階から早めに上がってきているので、以前のEXPOの方が、リハーサルが始まってから演出がバタバタと決まっていくような、そんな危なさがあった。不安は今のところないです。EXPOってある意味で「記録に挑戦!」というか、そういうふうに捉えられがちだけど、そこのハードルをどう越えようかってところで、10年経ってしまった。HOTEL GLAYでいいじゃない? みたいな意見も出つつ…EXPOを終わらせることは簡単だけど、なにか継続していくことを考えようと。東北でやりたいという気持ちは以前からあったので、その気持ちとEXPOが合わさったというところですね。
※GLAY EXPO 2014 TOHOKUの詳細はコチラ
<Review>
ナチュラル・ディストーションのギターと、朴訥なドラミング、薄くかぶさるシンセの間を縫うように、バッキングというよりはハミングをしているが如きベースラインが耳の奥に入ってくる。Cruel world=残酷な世界を描いていながら嘆いているのでも告発するのでもない不思議でシュールな歌詞世界。それをきちんと受け止めて歌うTERU。白日夢か意志ある選択なのかは、聴く者に委ねられている。委ねられていると思うゆえに何度も聴いてしまうループ感が新しいJIRO楽曲である。キャリアを積むことは、未だ体感できぬものへ音楽を導くことだと知るだろう。ヴォーカルもサウンドもある種の抑制を伴いながら、鬱屈していない感覚を引き起こすのは見事だと言える。ライブにおいて演奏されるか否かはわからないが、音源としての吸引力は破格であるからにして、音源を反復再生させるところに、おそらくはこの楽曲の真の意図があるような気がする。
第2回は『YOU』を手がけたJIRO。
★「BLEEZE」について
■JIRO
今回はいろんなタイプの曲が…「あっ、こんな曲GLAYにあったらいいなあ」って思うような曲が、僕のストックの中にあって。でも僕はすぐその場で作ることはなく、じゃあ次のアルバム作るぞ-って言って、締め切りまでにみんな作ってきてとTAKUROの号令が掛かってから作り出すんです。作曲期間としてはすごい短い。普段から自分でラジオをやっていることもあり、いろいろな音楽を様々に聴いていて、人のライブを見てもそうなんですけど、「こういう曲、気持ちいいなあ」と思う断片的なストックがある。「YOU」に関してはそういう意識があるわけでもなく、なんとなくできた曲だったんですよね。サビ前まではストックとしてあったんです。いつもiPhoneのヴォイス・レコーダにメロディのアイデアとかを録音しているんですけど、その断片を聴いて「この曲ちょっと膨らましたいな」と思った。AメロBメロをアコースティック・ギターで弾いていて、そのうちコード進行に任せるままに歌メロができてきて、で、それこそ歌メロが勝ったのかな? で、歌メロに合うコードを追っていった。そしたら面白いコード展開になって。僕の曲の中では"やや複雑な"コード展開の楽曲というか。僕の場合、もっと単純なコード展開の曲が多いんですけどね。TERUに仮の歌を入れてもらうときに、最近は何か適当な歌詞をつけるんですよ。それはほんと何も浮かばない時は、手塚治虫の漫画見ながらそこから言葉を拾ったりとか(笑)、言葉のハマりがいい、そういう言葉だけを入れておくだけなので、意味的には支離滅裂なんです。ハマりがいいということと、あとは日本語であるということぐらいで。そうしておくと、歌メロを覚えてくれるのも早いし、でも「YOU」に関しては曲の世界観がダークな感じだったので、3~4割ぐらいは最初の段階からすでに完成形に近い歌詞だった。どっちかと言ったら僕は曲を聴かせるために歌詞を書く人なのかなと思う。言いたいことがあってそれを曲にして伝えるというよりかは、曲を聴かせるために引っかかりのある言葉だとかを使うタイプだと思います。
★20周年について
■JIRO
密度が濃かった時代はやっぱり1996年から2000年くらいかな? 人気が爆発していく一方でいちばんきつかった時期でもありますね。あの時に戻れって言われたら絶対に嫌ですけど(笑)、でもあの時がなければ今のGLAYはないとも思うし、だからいい部分も悪い部分も両方あるという感じかな。
--去年函館でライブをやりましたけど、そのことで函館を出てからの年月を自分なりに振り返られるというようなことはない?「ああ、ここから出て行ったんだな」というような。
■JIRO
それはない。僕はそういうことを考えるタイプではないです。ただ何年か前に函館でイベントがあり、親戚のおじさんから「GLAY出てくれない?」と言われていて(笑)、結局僕らの"長居スタジアム・ライブ"と重なって出られなかったんだけど、本音としては今まで函館に貢献したことはなかったし、何か貢献したいなという気持ちはありましたよ。なので「GLAYの原点に戻るんだ。だから函館でライブやろう!」みたいなことでは、僕の中ではなかったです。「俺の死ぬ場所は函館です!」とかは思わないし(笑)。函館ライブに関してよかった点は、地元の人が「ああやっぱりGLAYって函館の人たちなんだ」と強く思ってくれたところですね。「函館出身かもしれないけど、今や東京の人になっちゃったでしょう」というんではなくてね。たぶん2回目になれば、もっといろいろなことがスムースに進むと思うしね。函館観光の活性化につながってくれたらなと。大人っぽい活動を近年やり始めてますけど、僕らの力が何かのプラスになって函館が盛り上がってくれたら、親戚のおじさんもたぶん喜んでくれると思うので(笑)。そういう地元のダイレクトな反応はGLAYの活動~例えばホールツアー~なんかにも影響していますよね。あとは僕ら自身が楽しみながらやっているかどうか? っていうところが重要ですよね? まあ、それができるかどうかはバンドの信頼関係にも関わってくるんだろうけど、GLAYは幸いにもそれができてると思う。
★EXPOについて
■JIRO
現状そんなに気負ってないです、まだ(笑)。あとライブの選曲に関してもおそらくベスト的なものになるだろうから…新曲やると緊張するので。演出面も企画の段階から早めに上がってきているので、以前のEXPOの方が、リハーサルが始まってから演出がバタバタと決まっていくような、そんな危なさがあった。不安は今のところないです。EXPOってある意味で「記録に挑戦!」というか、そういうふうに捉えられがちだけど、そこのハードルをどう越えようかってところで、10年経ってしまった。HOTEL GLAYでいいじゃない? みたいな意見も出つつ…EXPOを終わらせることは簡単だけど、なにか継続していくことを考えようと。東北でやりたいという気持ちは以前からあったので、その気持ちとEXPOが合わさったというところですね。
※GLAY EXPO 2014 TOHOKUの詳細はコチラ
<Review>
ナチュラル・ディストーションのギターと、朴訥なドラミング、薄くかぶさるシンセの間を縫うように、バッキングというよりはハミングをしているが如きベースラインが耳の奥に入ってくる。Cruel world=残酷な世界を描いていながら嘆いているのでも告発するのでもない不思議でシュールな歌詞世界。それをきちんと受け止めて歌うTERU。白日夢か意志ある選択なのかは、聴く者に委ねられている。委ねられていると思うゆえに何度も聴いてしまうループ感が新しいJIRO楽曲である。キャリアを積むことは、未だ体感できぬものへ音楽を導くことだと知るだろう。ヴォーカルもサウンドもある種の抑制を伴いながら、鬱屈していない感覚を引き起こすのは見事だと言える。ライブにおいて演奏されるか否かはわからないが、音源としての吸引力は破格であるからにして、音源を反復再生させるところに、おそらくはこの楽曲の真の意図があるような気がする。
インタビュー&レビュー:佐伯明