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TOSHI & SEI WEB INTERVIEW

Vol.44 TOSHI & SEI WEBインタビュー
ライブそしてレコーディングとGLAYをサポートしてくれているドラマー・TOSHI:こと永井利光氏とキーボード・SEIこと永井誠一郎氏を直撃。現在実施中のアリーナ・ツアーの裏話から二人が見た各メンバーなど興味深い話が盛り沢山です。

――20周年イヤーの中のGLAY EXPOからアリーナツアーまで約3か月。EXPOからツアーまでは続いている感覚があったんでしょうか?

SEI:EXPOは一区切りではありましたけど、終わったね~、というよりは、続いていく、自分の気持ちの中では続いている感じですね。

TOSHI:僕は今回のEXPOは、もちろん20周年ということは前提としながらも、特別な東北のイベント・お祭りをみんなで楽しんだ、という気持ちが強いんですよね。それが終わっての今回のツアーが、20周年を一番意識できているような気がします。

――今回は、もともと発表されていたアリーナツアーの間にホールツアーが入ってくる、というこれまでにない組み方ですね。曲順もセットも違うので大変なのでは…?
TOSHI:どちらをメインに置くかで考え方も違うんですが、もともと予定されていたアリーナツアーをメインに置くとしたら、ホールツアーが間に入ることでアリーナツアーだけ回っている時とはまた全然違った面白いテンションになっていて。これはやってみてよかったねっていう話をこの前JIROくんとしていました。アリーナの緊張感が続くのもいいんだけど、今回は特に新曲が多いのでホールでお客さんの反応を身近に感じられてから同じ曲をアリーナでやるのは面白い。

SEI:ホールでのライブはアリーナに比べると、"ショーを見せます"というよりアットホームな感じ。客席も近い分、ダイレクトに反応が伝わるライブ感がいいですよね。

TOSHI:ホールツアーだけならホールツアーならではの緊張感もあるから、その時はライブハウスを入れると違うのかもしれない。今回はアリーナツアーで演出込みのかっちりしたステージをやっている中で、日によって曲順が変わったりするアグレッシブさやアットホームな空気をホールツアーで味わっていますね。
――通常はホールツアーの後にアリーナツアーが決まって、という場合が多いですもんね。
SEI:そうですよね。最初は"気持ちの切り替えがうまくできるのかな""ガラッと変わってどう持っていけるのかな"って思っていたんですけど、実際にやってみたら意外に違和感なくやっていけました。

TOSHI:普通にホールツアーだけ回っていたら、「Freeze My Love」(※1)で始まるとかなかなかないことだと思います(笑)。"今回アリーナツアーの中で「Freeze My Love」がメニューに入っているから、ホールではオープニングでやってみようか"っていうTERUくんの遊び心。そういう自由さも楽しいですね。

※1「Freeze My Love」:1995.1.25発売シングル・タイトル曲
――アリーナ編のような映像・演出が無い分、客席からはバンド全体を集中して観ることもできますね。
TOSHI:アリーナツアーをやってる最中のホールだから、みんながよりリラックスしてやれているなぁという感じはありますね。

SEI:見られ方の違いはたしかにありますね。アリーナの方はより演出的というか、カメラも入っているから"今こっちから撮られてるんだろうな"って考えたり(笑)。ホールの場合は全体を見られているわけで、そういう違いもありますが、ホールの良さはグルーヴを楽しむ、演奏を楽しむことに集中できるというところですね。

TOSHI:ホールって本当によくできた作りだなって改めて思います。後ろの方までよく見えますもん。
――よく見えるといえば、12月6・7日のさいたまスーパーアリーナは360度客席があってステージの後ろからも視線が…。
TOSHI:あれは緊張しました(笑)。ヘタに後ろ向いてリラックスして水飲んだりとかできない。

SEI: TOSHIさん、初日に衣装破れましたしね(笑)。

TOSHI:2日目に着てみて、なんかおかしいなと思ったら破れてた(笑)。

SEI:僕は体にヘンに力が入ったのか、背中がすごく凝ってましたね(笑)。あと、今回サックスを吹いているんですけど、普通なら後ろを向いて試し吹きとかできるのに後ろにもお客さんがいるからどうしよう…って(笑)。
 
――今回、SEIさんがサックスを演奏するというのは、TAKUROさんからの急なリクエスト=無茶ぶりですか?
SEI:無茶ぶりも恒例となってしまいましたね(笑)。でも最近、無茶ぶりがないのでちょっと寂しいんですよね…と、ここで伝えておきます(笑)。
――「Freeze My Love」や「月に祈る」(※2)など懐かしい曲、ライブで久々な曲も多く組み込まれていますね。

TOSHI:最初の頃、セットリストもまだ出回っていない頃は、イントロが流れた途端、うわ~ッてリアクションが伝わってきて、緊張もしましたね。演奏面でいうと昔と全く違いますね。ツアーの曲が決まった時に、初の武道館ライブ(96年)の映像を見たんですけど、ゴリゴリで、粗削りで…すごく新鮮でした。どっちがいいっていうことではなく、演奏技術も精神面も全部変わってきた状況で、今のGLAYが当時の曲をやるとすごく美しい曲になるなって。例えば当時の「pure soul」(※3)は、がむしゃらに訴えているような感じがあったけど、それがなくなったわけではなくて、様々なことを通り越えてきたからもっと余裕を持って伝えていけるっていう。すごく熱かった当時の心情をなぞるのではなく、今のGLAYで「pure soul」をやっている、そういう意味で新鮮さを感じます。

SEI:今回、ステージで【>TOSHIさん・SEIさん場所入れ替わり状態】になっているんですが、そうするとキーボードの設置の仕方が変わってくるんです。具体的に言うと、今回久々にやっている「HAPPY SWING」(※4)は、今までピアノを左手、ブラスを右手でやっていたのが逆になるんです。最初の頃はできなくて大変でした(笑)。他には「More than Love」(※5)もそうですね。あと、それに合わせて髪の流れ(分け方)も変えてるんです。冗談みたいなほんとの話(笑)。ちょうど髪の分け目を変えてみようと思っていたら立ち位置が逆になったので、この機会にやってみようと。

TOSHI:僕の立ち位置もこれまでにあまりなかった感じで、ちょっとななめに向いているんですよ。会場のお客さんに対してちょっとななめ向いてるので、左側の奥のお客さんを無視しているようで最初は違和感がありましたね。
※2「月に祈る」:1996.2.7発売、アルバム2nd『BEAT out!』収録。
※3「pure soul」:初出は1998.7.29発売アルバム『pure soul』。最新アルバム『MUSIC LIFE』BALLADE BEST☆MELODIESにも収録
※4「HAPPY SWING」:1995.3.15発売、1stアルバム『SPEED POP』収録。オフィシャルFan Clubの名称の由来にもなった。
※5「More than Love」:1996.2.7発売、アルバム2nd『BEAT out!』収録。
――アルバム『MUSIC LIFE』の楽曲を演奏してみての感想は?
TOSHI:『GLAY』(2010年)(※6)っていうアルバムがGLAYを象徴していたとすれば、『MUSIC LIFE』はいろいろな種類のGLAYの方向性をちりばめた20周年の次を感じるアルバム。特に「TILL KINGDOM COME」(試聴はこちら)は今後のGLAYにおいて影響力があると思う。本当に音やグルーヴを楽しんでいる感じがして、演奏していてもすごく楽しい。

SEI:「浮気なKISS ME GIRL」(試聴はこちら)のスカっぽい感じも新鮮ですね。

TOSHI: SEIさんはサックスも吹いてますしね。

SEI:コーラスワークも楽しいです。今回JIROくんがかなりコーラスをやっていて、「祭りのあと」(試聴はこちら)では、TERUくんとJIROくんと僕とで三声になるんです。今まで三声ってことはなかったので、このハーモニーは新鮮ですね。今回、JIROくんの意志でコーラスに参加していますが、ベースだけじゃなくコーラスも、という見え方もすごくいいと思います。TERUくんがJIROくんのコーラスに対して「いいね!」って言っているのを見ていると微笑ましいですよ。

TOSHI:JIROくんのコーラスをはじめ、「浮気なKISS ME GIRL」などのテイスト的に今までなかったような曲をやることで、これまでと違うことに挑戦したり、自然な変化をしているんだと思います。20年やってきたぞ!って、過去の名曲を持ってきての集大成的なツアーもありだけど、そうじゃなくて20周年も通過点だと。僕自身も自分の30周年はそういう気持ちを持っていたので、同じなのかなと思います。

※6『GLAY』(2010年):翌2011年には、デモやリミックス、ライブバージョン及びプロモーション出演したラジオ音源を追加した3枚組『GLAY Anthology』がリリースされた。
――新しい曲の歌や演奏、MCなど、今回のツアーでの4人の印象を聞かせてください。まずはTERUさんから。
SEI:MCで言うとすごく自由で、肩の力が抜けている感じがすごくいいなぁと思うんですよね。天然で言っちゃったことをうまく笑いに持って行ったり。肩の力が抜けてないとそんなことできないですよね。極めていってるなぁと(笑)。



TOSHI:(笑)自分で自分のキャラを作り上げて。



SEI:天然をちゃんと散らかしたままにしない(笑)。堂々としてますよね。



TOSHI:本番前の気合い入れの時も、わざとおちゃらけて、力まないようにって一番言ってくれる。その力まないっていうことは、歌に影響していると思います。ボーカリストって、MCでヘンなことを言ったりすると次の歌にも響くだろうし、歌っている最中も次のMCは…っていうプレッシャーはあるはずで。そこをすごいリラックスしてやれているというのは集中できているからかなと。TERUくんのMCがゆったりできている時は歌も最高にいいような気がします。あと、今回のアルバムのレコーディングの頃からTERUくんの歌に変化を感じているんです。リズムも違うし、前より歌もうまくなった。きっとアルバムでいろんなドラムの人とやったことがいい方向に出たなと思いました。僕がこれまで一緒にやってきた時には生まれなかったグルーヴが出てきたんです。もちろん、自分で追求している部分もあるんでしょうけど。いつか本人に言おうと思ってたまま、まだ言ってませんでした(笑)。
――JIROさんについては?
TOSHI:ベースはもちろん安定していて、新曲の中では「Hospital pm9」(試聴はこちら)が面白い。レコーディングであのフレーズができた経緯はわからないですが、あのラインはすっごくよくできているなと。これも本人に言ってないです(笑)。あとはさっきも話が出たようにコーラスをするようになったことでの変化。楽曲においてより歌を意識することで新しいところが見えて、それでベースも変わったんじゃないかな。




SEI:そうですね。僕もJIROくんがあんなに積極的にコーラスをやるとは思ってはいなかったので、大きな変化はすごく感じています。あと、見えない所でもすごく練習しているんだろうなと感じる時があって、ミュージシャンシップを感じます。

TOSHI:アルバムでいろんなドラムの人とやったことも大きいでしょうね。いいミュージシャンというのは、ずっと成長し続けるものだと思うんです。長年やってきたからこそ見えてくる楽器の魅力や音楽の魅力があって。その時に、どうしよう、もっとうまくなりたいという欲が出てきて、それが成長につながっていく。ずっとずっと同じ努力をしているわけじゃない。今回、バンドならではのグルーヴをもった個性的な人たちと一緒にやるっていうのは大きなことだったでしょうね。

――HISASHIさんは?
SEI:音色、音、フレーズ…いい意味でのオタク、というか突き詰める、というのが彼の魅力。オープニングSEをはじめ、今回のツアーでもHISASHIワールドが変化していっているのを感じます。ただ、本番の日の入り時間は遅い、ギリギリです(笑)。TOSHI:さんは最後から2番目です(笑)。でも、そんなふうに自由にフラッと来ているように見えて一人の時にすごくいろんなことをやっているんだろうなって思っています。

TOSHI:面白いフレーズやギターをおもちゃのように操っているところは演奏面での前提として、ここ1年くらいで感じるのは、HISASHIくんはものすごく考えているなということ。リーダーのTAKUROくんとは違うベクトルで、今のGLAYというものをいろんな分野、角度から考えている。以前は、話し合いの場でも飲んでいる席でも、俺はどうでもいいよ、みたいなキャラで周りを和ませたりしていたんだけど、最近変わってきた。もちろん4人全員にそういう所はあるけど、HISASHIくんは際立って感じるので今後それがどういう風に出てくるのかな?と楽しみです。

――TAKUROさんは?
TOSHI:ここ数年の変化でいうと、ジャズでしょうね。昔は、自分はギタリスト、というより作曲家、作詞家、リーダーという感じだと言っていましたが、もっとギターがうまくなりたいというモードになってジャズに行きついたんじゃないかな。ギターに関してものすごく努力しているなと感じます。ジャズってインストだから、最初はフレーズを覚えていくものなんだけど、TAKUROくんの場合は最初からメロディーが歌っている。ピアノでもドラムでもジャズをやる上で一番苦労するところなのに、もともとできる人なんですよね。今後、そういう面がGLAYに出てきたら面白いと思います。今回のツアーでのTAKUROくんのソロはドラマティックですしね。

SEI:4年程前からすごく練習していて、今の彼のブームなのかなと思っていたら、ずっと続いているのでこれは本腰を入れているなと。それがだんだん音に出てくるし、壁にぶち当たって、ちょっとめげて、でもまた次にいって…っていう姿を見ていると、ミュージシャンとして尊敬できるし、刺激にもなりますね。
――アリーナ&ホールツアーが終わると、次は5月の東京ドームライブが見えてきますね。
SEI:GLAY EXPO同様、僕は初めての参加になります。自分も8 年続けてやってきて、また一つGLAYとの歴史を刻みながら今度はドーム。帰ってくる、と言った所に僕はいなかったわけですが、今度は、その瞬間を見た人達と一緒にいられるというのも感慨深いですね。TAKUROくんからの無茶ぶりもドーム級のがくるのかなと楽しみにしておきます(笑)。

TOSHI:20周年アニバーサリーの締め括りであり、公約の最後でもあり。音楽の表現の部分においては変わろうと努力を続けるGLAYだけど、人間的な部分は変わらず大切な物を持ち続けている。今までGLAYが何を大切にやってきてきたのかがわかる瞬間かもしれないですね。10年前に見た人も、見ていない人も、そういう物語を感じられるライブにできたらいい締め括りになると思います。

※7東京ドームライブ:「20th Anniversary FINAL GLAY in TOKYO DOME 2015 Miracle Music Hunt Forever」。2015年5月30日(土)31日(日)の2日間実施。