Vol.45 TERU WEBインタビュー
20周年イヤーもいよいよ大詰め!2014年の「GLAY EXPO 2014」開催、『MUSIC LIFE』リリース、現在進行中のアリーナツアー、そして5月に開催が決定した東京ドームライブ。
TERUがその時何を感じ、そして今何を思っているのか…、WEBオリジナルインタビューをお届けします。
――20周年イヤーの活動が目覚ましかった2014年。今振り返られて、特に印象深いのはどんなことでしょうか?
TERU:
やっぱり『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』関連の行事はすごく印象に残っていますね。そういう大きなライヴをする時には、"学園祭の延長線上的なもの"とよく話しているんですけど、自分たちで手作りしている感じがあるのが楽しいかな、と。東北六魂祭(※1)に向けての準備もそうですけどね。六魂祭とのコラボは、そもそも今回EXPOのプロデューサーとしていろいろと手伝ってくれた友人が提案してくれたんです。「お祭りとのコラボは、まさしく新しいEXPOの形かもしれない!」と思えたので、そのあたりからEXPOに対してすごく前向きになることができて。
※1:東北六魂祭
東北6県の各県庁所在地の代表的な6つの夏祭りを一同に集めた祭り。東日本大震災の鎮魂と復興を願って、2011年7月に宮城県仙台市で初開催された。今年は山形県山形市で第4回を開催、GLAYはイベントの一つ「六魂Fes!」に参加、また青森出身のHISASHIは東北出身のアーティストのみが参加できる六魂バンドのメンバーとして単独でも出演を果たした。
東北六魂祭公式サイトはこちら
――歴代のGLAY EXPOとは、意義も形も違うものになりましたよね。
TERU:
そう。'99年はウッドストック(※2)みたいなイベントを自分たちでやりたい、ということで、野外でああいった大きなイベントをやったけれども、それ以降どんどんテーマを変えて行って。元々何もないところにステージを組んでこそのEXPOだったんだけど、次第に、その場所すら見えなくなって行ったんですよね。5万人、6万人収容できるような空地はあるのか?ということで、いろいろ探しはしても、結局そういう場所はなくて。アイディアもないし、しばらくはEXPOではなく違う形でやっていこう、ということで『HOTEL GLAY』や、函館での『GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT』といった、新しい野外ライヴが生れて。でもやっぱり心のどこかに「EXPOはいつかやらなきゃな」という想いもあった。だから、六魂祭とコラボするというアイディアが出た時に、自分たちも前向きに捉えることができて。お祭りとのコラボだったらこういうことをやりたい、こういう人とコラボしたい、こういう映像をつくりたい、とか、具体的な案が出て来たんです。
※2:ウッドストック
1969年8月15日午後から18日午前にかけての延べ4日間、アメリカ合衆国ニューヨーク州で開かれたロックを中心とした史上初の大規模な野外コンサート『Woodstock Music and Art Festival』を指す。
ボブ・ディラン、グレイトフル・デッド、ザ・フー、ジミ・ヘンドリックス他30組以上のフォーク歌手やロック・グループなどが出演、入場者数も40万人を超えた伝説のフェスティバル。
――TERUさんの和太鼓チームとのコラボレーションも印象的でした。
TERU:
もともと"初っ切り太鼓"自体、僕は何をやるものなのか情報として知らなかったんですよ。でも、いろいろと話を聞いたら、イベントの最初に、大太鼓・小太鼓、皆が一つになって叩いて、「これから始めますよ」という想いを伝える、神への誓いみたいな神聖なものだ、ということで。でも、それ以上に、GLAYと六魂祭、そして閃雷(センライ)というチームとのコラボが大事だったので、初っ切りはやらせてはもらうけども、形だけ、な感じではあったんです。でも、メンバーの子たちのいろんな言葉を聴いて想いをどんどん知って行くうちに、「この初っ切りを自分なりの鎮魂として、東北に対して何か一つ、形として出せたらな」と思うようになったんです。
――そのメンバーの方たちの言葉というのは、具体的にはどういうものだったんですか?
TERU:
僕が叩いた太鼓の革自体が、海に流されて、漂流して来て海岸に落ちていたものだったんですよ。革だから水分を含んでしまうと音が悪くなるんだけども、その革を使った太鼓を持って旅をして、その土地土地でいろんな人たちからメッセージをもらっていて……その顔を見た瞬間、「ああ、何か東北の力になることができればな」という想いにはさせられましたね。だから、具体的な言葉を聴いた、というよりも、そこに書かれたメッセージというか、想いに胸を打たれた、ということですね。それで、自分としても、「上半身裸になりたい」と思うようになって、身体を絞って。
TERUが叩いたこの大太鼓は「希望の太鼓」と呼ばれている。
GLAY EXPO MICHINOKU KIZUNA TAIKO担当責任者 千葉 秀氏コメント
私の気持ちも書き記したい!世界中に感謝の気持ちを伝えたい!と被災地各地で噂になりました。その噂は史上初となる東北六魂祭の開会式のスタートである初っ切り太鼓となり、仙台、盛岡、福島、山形と、これまで開催された東北六魂祭の全てのスタートの音をその地に残して来ました。
(GLAY EXPO 2014 WEB SITEより)
――あの姿は勇ましくてカッコよかったです!
TERU:
知人からは「なんで脱いだ!?」と、思いっきり笑われましたけどね(笑)。でも、向かって行く気持ちの表れというか、俺なりの覚悟だったんでしょうね。
「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」
DVD & Blu-ray
2015年2月14日リリース
詳しくはコチラ
――参加者としてもあまりに多くのことを感じる特別なライヴでしたが、TERUさんご自身は、EXPOの前と後とで、一番変わったなと感じるのはどんなことですか?
TERU:
一つ一つのことを真面目にやろう、と思った。これまでも真面目ではあったんですけど(笑)。やっぱり、だいたいのやり方が分かって来ているので、人に任せるものは任せて、自分で責任を負えるところはそうして、という、役割分担的なものも出来て来ているんですよね。でも、EXPOが終わった後には、「一個一個が大事なんだな」ということを、自分の中ですごく深く理解できて。だから、アルバム『MUSIC LIFE』のプロモーションをするにも、やっぱり、「ちゃんとした言葉で伝えたい」という想いになったし。メンバーそれぞれがラジオで話したことを原稿に起こしてもらって、それを事前にじっくり読んで、「あ、こういうこと考えてたんだ」と理解したうえで自分もアルバムの話をしたいな、とか。それは自分なりに変わったところかな、と思いますね。
――レコード会社のスタッフさんと撮った写真をアップされていましたが、よいタッグを組まれている様子が伝わってきました。
TERU:
うん。EXPOを機に、"チームでやることの素晴らしさ"を改めて感じたし、全員で見る夢っていいな、と思ったんですよね。EXPOは東北に対して「少しでも元気になってほしい」「復興の少しでも手助けになってくれれば」という想いでやってはいたけれども、やり終えてからの感想としては、「EXPOを成功させよう」という夢を持って皆で一丸となってできたこと自体が、すごく楽しくて。「あ、やっぱりこれって皆でやるから楽しいんだな」というのを忘れちゃいけないんだな、と感じましたね。
TERUのTwitterにアップされたレコード会社スタッフとの記念撮影がコチラ
――『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』テーマソングの「BLEEZE」、『ダイヤのA』 (※3) オープニングテーマとなった「疾走れ!ミライ」など、TERUさん作詞・作曲のシングル曲が2014年には世に放たれました。
TERU:
やっぱり自分の作品が世に出て行く、それもシングルとして、というのはうれしいものですね。一番分かりやすい反応は、TERUファンの子たちが喜んでくれるってこと(笑)。「『ダイヤのA』観ました! "疾走れ!ミライ"、やっぱりいいですね!」とか、誇らしげに、わざわざ俺のSNSに宛ててメッセージをくれるのは、すごくうれしかったです。そういう嬉しさ・楽しさを経験したので、もっともっとちゃんとした詞を書いていきたいな、という想いも湧いて来ているんですよ。年相応の、自分の人生観などをちゃんと書ける人になりたいな、と。もう新しい曲をつくり始めているので、一歩大人になった歌詞を書きたいなと思っています。でも、TAKUROはよく今までずっと書いて来たなあ、と改めて思いますよ。
※3:『ダイヤのA』
『週刊少年マガジン』にて連載中の寺嶋裕二による高校野球をテーマにしたコミック。2013年10月6日よりテレビ東京系列にてアニメ作品もオンエア。「疾走れ!ミライ」は52話からオープニングテーマとしてオンエアされている(2015.2.5現在放送中)。
アニメ『ダイヤのA』公式サイトはこちら
51stシングル「百花繚乱/疾走れミライ」ジャケット(表4)
曲試聴は特設サイトで
――TAKUROさんへの労いの気持ちが強まったんですね。
TERU
あ、今までなかったわけでもないんだけど(笑)、余計に尊敬した、というか。あの一番(忙しさが)ピークな時期に、どんな想いで歌詞を書いていたんだろう?って。そういうことを今も考えながら自分も詞を書いているんだけど、「これは、大変だっただろうなあ」と思いますね。
13thアルバム「MUSIC LIFE」
好評発売中
詳しくはコチラ
――アルバム『MUSIC LIFE』を引っ提げた全国アリーナツアー『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』が続行中です。エンターテインメントあり、魂に響く歌ありの、"GLAYの今"が詰まったライヴとなっていますね。現段階での手応えはいかがですか?
TERU:
『MUSIC LIFE』はすごくカラッとしていて、説教臭くないアルバムになったと思うんですけど、それはすごくいいことなんですよね。ここ5、6年は、いろんな出来事が僕らの身の回りで起きて行って……まあ、事務所関係もそうだし、友人関係だったり家族だったり、そういう周りの出来事を歌にしたことも多々ありました。それが音楽のメインになり、人生論のようなものがGLAYから発信されて行った気がするんです。でも、今回はメッセージ性の強いものというよりは、音楽メインのアルバムになった。TAKUROがロックナンバーを何曲も書き上げて来た、というところが大きな変化だったと思うんですけども、ライヴで映える曲が多いアルバムができたので、ライヴも説教臭くないものにしたいな、と。MC一つにしても、人生を語るよりは"今"の楽しさを語って行きたい、というかね。なんとなくそういうところに目を向け始めていて。幅広い年齢層の方々が遊びに来てくれているので、MCでもどんな人にも響くような言葉を意識したり、「どこまで飛ぶかな~?」とか言いながらズラーを投げたり(笑)。とにかく「来て楽しかった~!」と思えるようなライヴにしたいな、と。それがエンターテインメントなんだろうな、と思うしね。そういう、一つ一つを楽しめるようなものにしたい。あと、今回は手のフリも多くなったんじゃないかな? 皆に歌ってもらう機会も多くなったし。新曲だけど歌わせる、というね(笑)。
『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』
2月22日宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで終了
詳しくはコチラ
宮城公演は会場までのシャトルバス、会場駐車場駐車券も販売中
――それは意識的に増やしていらっしゃるわけですね?
TERU:
そうですね。各地の土地の名前を歌詞に盛り込んでみたりして、"現地と今"というのかな? 今そこにいて、自分たちも楽しんでいる感覚を大事にしたい、というか。方言を取り入れたいから、現地の方にわざわざICレコーダーでナレーションを録ってもらって、それを聴きながら、イントネーションもちゃんと自分で勉強して準備したり。徳島弁はうまくできなくて、けっこうブーイングが来ましたけど(笑)。
――(笑)。揺るぎない軸と柔軟さ、その両方があるからこその魅せ方がなされていますよね。
TERU:
「これがあるからいいライヴになってる」というのは、一番はやっぱり、『MUSIC LIFE』が本当にいい作品だったから、ですよね。ライヴでやってみてそれをすごく実感しています。ライヴでやってみたら「あ、こんなにロックするんだ!」と、レコーディング時には感じなかったダイナミズムに驚いている曲もあるし。「百花繚乱」もここまで成長してくれるとは思わなかったしね(笑)。言ってみれば、まだ全曲が新曲というか、アルバムがリリースされて半年も経っていないのに、これだけライヴの定番曲のように成長しているのは今までになかったことだな、と。実際、シングル曲もほとんどやってないしね。
――たしかに。最新作がこんなにも早く浸透する、というのは素晴らしいですよね。これだけ長いキャリアを積み重ねて来られた皆さんなのに、現役で思いきり突っ走っている"今"感があるからこそ、だと思います。
TERU:
そうですね。やっぱり、いいアルバムができると、皆活き活きするんだな、と思いますよ。新しいプロデューサーとして亀田誠治さんにお願いして一緒につくってみたけど、また新たな気持ちで楽しく作品づくりができたし、その楽しい雰囲気がそのままライヴに活かされている気がするので。これだけ新鮮な気持ちで仕事ができるんだったら、またいろんな人たちとやってみたいな、と思いますね。
――さいたまスーパーアリーナ公演では遂に、東京ドーム公演2DAYSを5月30日・31日に開催する、と発表されました。
TERU:
でも、会場が3日間しか押さえられてないんですよ。仕込みが1日、バラシ(撤収作業)が半日の強行突破です(笑)。これができたら、コンサート業界の常識がまた変わるんじゃないですか? 「3日間で2DAYS出来るのか!」って、マニュアルが一掃される気がしますね。
――スタッフさんは大変そうですね…?
TERU:
うん。「ごめん!」だね(笑)。
――10年前マイクスタンドに掛けた、あの白いジャケットを取りに行くところからライヴは始まるのか、と想像しています。
TERU:
あの場面、俺のイメージでは、山口百恵さんが(引退コンサートで)白いマイクを床に置いた時ぐらいの、一つの大きな行事みたいな意識でやったと思っていたんだけど。実際に映像を観返したら、ヘラヘラしながら「このジャケット取りに来るから。へへへっ!」で終わっていたから、ちょっと俺的にもショックだった(笑)。「こんな感じだったっけ!?」って。
そのシーンをYouTubeで見る
――想い出補正が掛かっていたんでしょうか(笑)。
TERU:
そうだね、意外とアッサリしてたよね(笑)。
――来る本番に向けて、今はどんな心づもりをなさっていますか?
TERU:
シングル曲を多くやることになるんじゃないかな?とは思いますね。ステージセットがシンプルになることは間違いないので、それプラス、自分たちで何ができるか?というと、映像に力を入れるとか、あとは、バンドが楽しくやっていることが一番の演出であり特効だ、とも思うのでね。そういう意味では、メンバー自身が楽しくやれるようなセットリストになるんじゃないかな?と思います。俺たちが一番感動できて、一番楽しんでできる空間をつくれば、それが来てくれる人たちにも伝わるものだ、と認識しているので。「これをやったら俺たち驚くよね! アガるよね!」という演出をいろいろと用意したいと思うので、楽しみにしていてください!
20th Anniversary FINAL GLAY in TOKYO DOME
Miracle Music Hunt Forever
詳しくはコチラ
2月18日(水)23:00までローソンチケット最速先行実施中
TERUがその時何を感じ、そして今何を思っているのか…、WEBオリジナルインタビューをお届けします。
――20周年イヤーの活動が目覚ましかった2014年。今振り返られて、特に印象深いのはどんなことでしょうか?
TERU:
やっぱり『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』関連の行事はすごく印象に残っていますね。そういう大きなライヴをする時には、"学園祭の延長線上的なもの"とよく話しているんですけど、自分たちで手作りしている感じがあるのが楽しいかな、と。東北六魂祭(※1)に向けての準備もそうですけどね。六魂祭とのコラボは、そもそも今回EXPOのプロデューサーとしていろいろと手伝ってくれた友人が提案してくれたんです。「お祭りとのコラボは、まさしく新しいEXPOの形かもしれない!」と思えたので、そのあたりからEXPOに対してすごく前向きになることができて。
※1:東北六魂祭
東北6県の各県庁所在地の代表的な6つの夏祭りを一同に集めた祭り。東日本大震災の鎮魂と復興を願って、2011年7月に宮城県仙台市で初開催された。今年は山形県山形市で第4回を開催、GLAYはイベントの一つ「六魂Fes!」に参加、また青森出身のHISASHIは東北出身のアーティストのみが参加できる六魂バンドのメンバーとして単独でも出演を果たした。
東北六魂祭公式サイトはこちら
――歴代のGLAY EXPOとは、意義も形も違うものになりましたよね。
TERU:
そう。'99年はウッドストック(※2)みたいなイベントを自分たちでやりたい、ということで、野外でああいった大きなイベントをやったけれども、それ以降どんどんテーマを変えて行って。元々何もないところにステージを組んでこそのEXPOだったんだけど、次第に、その場所すら見えなくなって行ったんですよね。5万人、6万人収容できるような空地はあるのか?ということで、いろいろ探しはしても、結局そういう場所はなくて。アイディアもないし、しばらくはEXPOではなく違う形でやっていこう、ということで『HOTEL GLAY』や、函館での『GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT』といった、新しい野外ライヴが生れて。でもやっぱり心のどこかに「EXPOはいつかやらなきゃな」という想いもあった。だから、六魂祭とコラボするというアイディアが出た時に、自分たちも前向きに捉えることができて。お祭りとのコラボだったらこういうことをやりたい、こういう人とコラボしたい、こういう映像をつくりたい、とか、具体的な案が出て来たんです。
※2:ウッドストック
1969年8月15日午後から18日午前にかけての延べ4日間、アメリカ合衆国ニューヨーク州で開かれたロックを中心とした史上初の大規模な野外コンサート『Woodstock Music and Art Festival』を指す。
ボブ・ディラン、グレイトフル・デッド、ザ・フー、ジミ・ヘンドリックス他30組以上のフォーク歌手やロック・グループなどが出演、入場者数も40万人を超えた伝説のフェスティバル。
――TERUさんの和太鼓チームとのコラボレーションも印象的でした。
TERU:
もともと"初っ切り太鼓"自体、僕は何をやるものなのか情報として知らなかったんですよ。でも、いろいろと話を聞いたら、イベントの最初に、大太鼓・小太鼓、皆が一つになって叩いて、「これから始めますよ」という想いを伝える、神への誓いみたいな神聖なものだ、ということで。でも、それ以上に、GLAYと六魂祭、そして閃雷(センライ)というチームとのコラボが大事だったので、初っ切りはやらせてはもらうけども、形だけ、な感じではあったんです。でも、メンバーの子たちのいろんな言葉を聴いて想いをどんどん知って行くうちに、「この初っ切りを自分なりの鎮魂として、東北に対して何か一つ、形として出せたらな」と思うようになったんです。
――そのメンバーの方たちの言葉というのは、具体的にはどういうものだったんですか?
TERU:
僕が叩いた太鼓の革自体が、海に流されて、漂流して来て海岸に落ちていたものだったんですよ。革だから水分を含んでしまうと音が悪くなるんだけども、その革を使った太鼓を持って旅をして、その土地土地でいろんな人たちからメッセージをもらっていて……その顔を見た瞬間、「ああ、何か東北の力になることができればな」という想いにはさせられましたね。だから、具体的な言葉を聴いた、というよりも、そこに書かれたメッセージというか、想いに胸を打たれた、ということですね。それで、自分としても、「上半身裸になりたい」と思うようになって、身体を絞って。
TERUが叩いたこの大太鼓は「希望の太鼓」と呼ばれている。
GLAY EXPO MICHINOKU KIZUNA TAIKO担当責任者 千葉 秀氏コメント
私の気持ちも書き記したい!世界中に感謝の気持ちを伝えたい!と被災地各地で噂になりました。その噂は史上初となる東北六魂祭の開会式のスタートである初っ切り太鼓となり、仙台、盛岡、福島、山形と、これまで開催された東北六魂祭の全てのスタートの音をその地に残して来ました。
(GLAY EXPO 2014 WEB SITEより)
――あの姿は勇ましくてカッコよかったです!
TERU:
知人からは「なんで脱いだ!?」と、思いっきり笑われましたけどね(笑)。でも、向かって行く気持ちの表れというか、俺なりの覚悟だったんでしょうね。
「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」
DVD & Blu-ray
2015年2月14日リリース
詳しくはコチラ
――参加者としてもあまりに多くのことを感じる特別なライヴでしたが、TERUさんご自身は、EXPOの前と後とで、一番変わったなと感じるのはどんなことですか?
TERU:
一つ一つのことを真面目にやろう、と思った。これまでも真面目ではあったんですけど(笑)。やっぱり、だいたいのやり方が分かって来ているので、人に任せるものは任せて、自分で責任を負えるところはそうして、という、役割分担的なものも出来て来ているんですよね。でも、EXPOが終わった後には、「一個一個が大事なんだな」ということを、自分の中ですごく深く理解できて。だから、アルバム『MUSIC LIFE』のプロモーションをするにも、やっぱり、「ちゃんとした言葉で伝えたい」という想いになったし。メンバーそれぞれがラジオで話したことを原稿に起こしてもらって、それを事前にじっくり読んで、「あ、こういうこと考えてたんだ」と理解したうえで自分もアルバムの話をしたいな、とか。それは自分なりに変わったところかな、と思いますね。
――レコード会社のスタッフさんと撮った写真をアップされていましたが、よいタッグを組まれている様子が伝わってきました。
TERU:
うん。EXPOを機に、"チームでやることの素晴らしさ"を改めて感じたし、全員で見る夢っていいな、と思ったんですよね。EXPOは東北に対して「少しでも元気になってほしい」「復興の少しでも手助けになってくれれば」という想いでやってはいたけれども、やり終えてからの感想としては、「EXPOを成功させよう」という夢を持って皆で一丸となってできたこと自体が、すごく楽しくて。「あ、やっぱりこれって皆でやるから楽しいんだな」というのを忘れちゃいけないんだな、と感じましたね。
TERUのTwitterにアップされたレコード会社スタッフとの記念撮影がコチラ
――『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』テーマソングの「BLEEZE」、『ダイヤのA』 (※3) オープニングテーマとなった「疾走れ!ミライ」など、TERUさん作詞・作曲のシングル曲が2014年には世に放たれました。
TERU:
やっぱり自分の作品が世に出て行く、それもシングルとして、というのはうれしいものですね。一番分かりやすい反応は、TERUファンの子たちが喜んでくれるってこと(笑)。「『ダイヤのA』観ました! "疾走れ!ミライ"、やっぱりいいですね!」とか、誇らしげに、わざわざ俺のSNSに宛ててメッセージをくれるのは、すごくうれしかったです。そういう嬉しさ・楽しさを経験したので、もっともっとちゃんとした詞を書いていきたいな、という想いも湧いて来ているんですよ。年相応の、自分の人生観などをちゃんと書ける人になりたいな、と。もう新しい曲をつくり始めているので、一歩大人になった歌詞を書きたいなと思っています。でも、TAKUROはよく今までずっと書いて来たなあ、と改めて思いますよ。
※3:『ダイヤのA』
『週刊少年マガジン』にて連載中の寺嶋裕二による高校野球をテーマにしたコミック。2013年10月6日よりテレビ東京系列にてアニメ作品もオンエア。「疾走れ!ミライ」は52話からオープニングテーマとしてオンエアされている(2015.2.5現在放送中)。
アニメ『ダイヤのA』公式サイトはこちら
51stシングル「百花繚乱/疾走れミライ」ジャケット(表4)
曲試聴は特設サイトで
――TAKUROさんへの労いの気持ちが強まったんですね。
TERU
あ、今までなかったわけでもないんだけど(笑)、余計に尊敬した、というか。あの一番(忙しさが)ピークな時期に、どんな想いで歌詞を書いていたんだろう?って。そういうことを今も考えながら自分も詞を書いているんだけど、「これは、大変だっただろうなあ」と思いますね。
13thアルバム「MUSIC LIFE」
好評発売中
詳しくはコチラ
――アルバム『MUSIC LIFE』を引っ提げた全国アリーナツアー『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』が続行中です。エンターテインメントあり、魂に響く歌ありの、"GLAYの今"が詰まったライヴとなっていますね。現段階での手応えはいかがですか?
TERU:
『MUSIC LIFE』はすごくカラッとしていて、説教臭くないアルバムになったと思うんですけど、それはすごくいいことなんですよね。ここ5、6年は、いろんな出来事が僕らの身の回りで起きて行って……まあ、事務所関係もそうだし、友人関係だったり家族だったり、そういう周りの出来事を歌にしたことも多々ありました。それが音楽のメインになり、人生論のようなものがGLAYから発信されて行った気がするんです。でも、今回はメッセージ性の強いものというよりは、音楽メインのアルバムになった。TAKUROがロックナンバーを何曲も書き上げて来た、というところが大きな変化だったと思うんですけども、ライヴで映える曲が多いアルバムができたので、ライヴも説教臭くないものにしたいな、と。MC一つにしても、人生を語るよりは"今"の楽しさを語って行きたい、というかね。なんとなくそういうところに目を向け始めていて。幅広い年齢層の方々が遊びに来てくれているので、MCでもどんな人にも響くような言葉を意識したり、「どこまで飛ぶかな~?」とか言いながらズラーを投げたり(笑)。とにかく「来て楽しかった~!」と思えるようなライヴにしたいな、と。それがエンターテインメントなんだろうな、と思うしね。そういう、一つ一つを楽しめるようなものにしたい。あと、今回は手のフリも多くなったんじゃないかな? 皆に歌ってもらう機会も多くなったし。新曲だけど歌わせる、というね(笑)。
『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』
2月22日宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで終了
詳しくはコチラ
宮城公演は会場までのシャトルバス、会場駐車場駐車券も販売中
――それは意識的に増やしていらっしゃるわけですね?
TERU:
そうですね。各地の土地の名前を歌詞に盛り込んでみたりして、"現地と今"というのかな? 今そこにいて、自分たちも楽しんでいる感覚を大事にしたい、というか。方言を取り入れたいから、現地の方にわざわざICレコーダーでナレーションを録ってもらって、それを聴きながら、イントネーションもちゃんと自分で勉強して準備したり。徳島弁はうまくできなくて、けっこうブーイングが来ましたけど(笑)。
――(笑)。揺るぎない軸と柔軟さ、その両方があるからこその魅せ方がなされていますよね。
TERU:
「これがあるからいいライヴになってる」というのは、一番はやっぱり、『MUSIC LIFE』が本当にいい作品だったから、ですよね。ライヴでやってみてそれをすごく実感しています。ライヴでやってみたら「あ、こんなにロックするんだ!」と、レコーディング時には感じなかったダイナミズムに驚いている曲もあるし。「百花繚乱」もここまで成長してくれるとは思わなかったしね(笑)。言ってみれば、まだ全曲が新曲というか、アルバムがリリースされて半年も経っていないのに、これだけライヴの定番曲のように成長しているのは今までになかったことだな、と。実際、シングル曲もほとんどやってないしね。
――たしかに。最新作がこんなにも早く浸透する、というのは素晴らしいですよね。これだけ長いキャリアを積み重ねて来られた皆さんなのに、現役で思いきり突っ走っている"今"感があるからこそ、だと思います。
TERU:
そうですね。やっぱり、いいアルバムができると、皆活き活きするんだな、と思いますよ。新しいプロデューサーとして亀田誠治さんにお願いして一緒につくってみたけど、また新たな気持ちで楽しく作品づくりができたし、その楽しい雰囲気がそのままライヴに活かされている気がするので。これだけ新鮮な気持ちで仕事ができるんだったら、またいろんな人たちとやってみたいな、と思いますね。
――さいたまスーパーアリーナ公演では遂に、東京ドーム公演2DAYSを5月30日・31日に開催する、と発表されました。
TERU:
でも、会場が3日間しか押さえられてないんですよ。仕込みが1日、バラシ(撤収作業)が半日の強行突破です(笑)。これができたら、コンサート業界の常識がまた変わるんじゃないですか? 「3日間で2DAYS出来るのか!」って、マニュアルが一掃される気がしますね。
――スタッフさんは大変そうですね…?
TERU:
うん。「ごめん!」だね(笑)。
――10年前マイクスタンドに掛けた、あの白いジャケットを取りに行くところからライヴは始まるのか、と想像しています。
TERU:
あの場面、俺のイメージでは、山口百恵さんが(引退コンサートで)白いマイクを床に置いた時ぐらいの、一つの大きな行事みたいな意識でやったと思っていたんだけど。実際に映像を観返したら、ヘラヘラしながら「このジャケット取りに来るから。へへへっ!」で終わっていたから、ちょっと俺的にもショックだった(笑)。「こんな感じだったっけ!?」って。
そのシーンをYouTubeで見る
――想い出補正が掛かっていたんでしょうか(笑)。
TERU:
そうだね、意外とアッサリしてたよね(笑)。
――来る本番に向けて、今はどんな心づもりをなさっていますか?
TERU:
シングル曲を多くやることになるんじゃないかな?とは思いますね。ステージセットがシンプルになることは間違いないので、それプラス、自分たちで何ができるか?というと、映像に力を入れるとか、あとは、バンドが楽しくやっていることが一番の演出であり特効だ、とも思うのでね。そういう意味では、メンバー自身が楽しくやれるようなセットリストになるんじゃないかな?と思います。俺たちが一番感動できて、一番楽しんでできる空間をつくれば、それが来てくれる人たちにも伝わるものだ、と認識しているので。「これをやったら俺たち驚くよね! アガるよね!」という演出をいろいろと用意したいと思うので、楽しみにしていてください!
20th Anniversary FINAL GLAY in TOKYO DOME
Miracle Music Hunt Forever
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2月18日(水)23:00までローソンチケット最速先行実施中
インタビュー:大前多恵