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JIRO WEBインタビュー(Vol.48 )

Vol.48 JIRO WEBインタビュー

20周年のファイナルを飾る東京ドーム公演に向けてのプランとは…?

――20周年イヤーとしての活動が目覚ましかった2014年を振り返って、JIROさんにとって一番印象に残っている時期・出来事は何でしょうか?

JIRO:やっぱり『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』かな。EXPOは、表に見えている"東北の復興"というテーマはもちろんあるんだけど、実はその裏で、GLAYが自分たちで事務所を立ち上げて以来、自力で、自分たちのアイディアだけでやって来た大型イベントから、もう一つステップアップしたい、見たことのないところに行きたい、という想いがあって。そこで、外部のプロデューサーである谷川さん(※1)に新たに加わってもらったんですよね。彼はすごくGLAYに対して愛情を持ってくれているし、彼のプロデュースのもとでGLAYのライブをしてみたかったんです。それで、普段俺たちが使わない風船やサイリウムも初めて取り入れてみて。自分たちが思っている"ロック"とは違う形だったけど、野外の開放的な雰囲気にすごくマッチしていた、と思います。
※1:谷川さん:GLAY EXPO ステージプロデューサー

――外部の方の目線を取り入れることで、いい効果があったのですね。

JIRO:東北の復興となると、俺たちだけでやっているとちょっとテーマが重くなり過ぎたんじゃないかな?と思うんですよね。そこに、"やっぱりライブって楽しいよね"と思える要素や、野外ならではの開放感を演出でプラスしてくれたことによって、とてもバランスのいいエンターテインメントになったな、と思っていて。谷川さんは細部のつくり方の突き詰め方がすごくしっかりしているんですよ。

――たしか、客席を照らすか・照らさないかについて、直前までメンバーと谷川さんとで意見が違っていて、突き詰めて本番にまで向かって行った、とEXPO直後に話されていましたね。

JIRO:そうですね。今までだったら俺たちは、「もっと客席を見たいから会場を明るくしてほしい」と言っていて、その意見が通ってたんだよね。でも、照明の演出的に言うと実は、「やっぱり、本当は暗いほうがいいんだよな」というのがあったと思うんですよ。谷川さんとは、「いや、明るく」「いや、暗く」という点で意見がぶつかったんだけど、結果的には谷川さんの意見で暗いままにして。そうしたら、演奏している俺たちから見ても、すごく綺麗だったし。客席が明るかったらそういう印象にはならなかったと思うから、「ああ、なるほど」と。自力ですべてやっていると、「そこ、違うと思いますよ?」と言ってくれる人がなかなかいないんですよね。そういういろんなことが勉強になった。それと、俺たちは「こういうアイディアありますので、お願いします」と(ライブの演出を)リクエストして、そのアイディアがいい時は問題ないんだけど、ダメな時は「う~ん、なんか違うなあ…」ってことが、これまではけっこうあって。でも、気付いた時にはもう、ライブまで残り日数わずかで、ドタバタでやって来ていたな、という反省点があったんですよ。「GLAYのライブは黙っていても良くなるもの」という意識からのスタートになってたんじゃないかな?と思うのね。そこを改善していかないといけないな、と思ったので、「次のアリーナツアーは前倒しで準備して行こう!」となって、「この曲はこんな感じの演出で」というのをきちんと考え直すことができたんです。

――アリーナツアー『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』は、オリジナルアルバム『MUSIC LIFE』の持つ力を存分に引き出したツアーだったと思うのですが、どのような手応えがありますか?

JIRO:『MUSIC LIFE』は亀田誠治さん(※2)と初めてつくったアルバムで、亀田さんも俺たちも、「全員でもう一回GLAYサウンドを見直そう!」という気合が入っていたんですよね。GLAYのやること自体は、これからも変わらないと思うんですよ。今から打ち込みを入れたり、ヒップホップになったり、ということはなくて、絶対に王道な日本のロックを夢見て追い掛けて……という部分は変わらないと思うんですよね。ただ、そこに行き着くまでのドラマがあったり、無駄なフレーズを削ぎ落として、「この曲がより良く起伏を付けて、もっと効果的にピークまで持っていくには?」というふうに、磨いていく作業だと思うんですよね。その部分で、新しく亀田さんが来てくれたことによって、自分たちにはないアイディアをすごく取り入れてくれて。俺たちの性格として、そういう新しいアイディアを否定しないので、「えい! もう飛び込んじゃえ!」みたいな感じだった(笑)。最終的には選曲の順番まで亀田さんに任せてしまうほど飛び込んだし、亀田さんも俺たちに対して愛情を持ってくれたから、次もやってくれると信じているし。そういう想いで出来た作品だったから、ライブでもやっぱり、「俺たち、亀田さんとすげぇアルバムつくっちゃった!」みたいな、ドーン!と見せる勢いはあったと思います。


※2:亀田誠治さん:
日本のミュージシャン、音楽プロデューサー、ベーシスト。バンド・東京事変の元メンバー。数多くのミュージシャン/アーティストのプロデュース、編曲、楽曲提供を手がけている。GLAYは2006年の夢人島FESでプロデュースをオファー、2013年7月24日発売の「DARK RIVER」で実現した。



13thアルバム「MUSIC LIFE」
好評発売中
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――『MUSIC LIFE』では複数のドラマー陣が参加されていますが、ツアーではTOSHI
NAGAI(※3)さんがすべてを叩かれていて。リズム隊としてはいかがでしたか?

JIRO:俺、けっこう細かく永井さんに言いますよ。「もっとここはこうして欲しい」とか「ここ、ニュアンスがちょっと違うんですけど、もう1回音源聴いてもらっていいですか?」とか、先輩後輩とか抜きに言いますけどね。これは前からよく言っているんですけど、俺と永井さんとTERU、この3人のグルーヴが合っていれば、あとは周りがちょっとズレてたほうが逆に気持ちいいと思っていて。でも、3人の土台がブレると良くないんですよね。だからそこは密に話し合っています。自分の中で言葉にならない時は、TERUに「ここのグルーヴの感じ、もう少しいいとこがあると思うんだけど…言葉にできないけど、どう思う?」と訊くと、「ああ、これってこうなんじゃない?」と言葉にしてくれることもあるしね。

※3:TOSHI NAGAI
ドラマーの永井利光氏。1995年以来GLAYのサポートドラマーを務める。『MUSIC LIFE』では「BLEEZE(Album Ver.)」「疾走れ!ミライ」「祭りのあと」「妄想コレクター」「MUSIC LIFE」に参加している。

――なるほど。ツアーを通じてアルバムの曲たちが浸透していき、コール&レスポンスも密にできていったのが印象的でした。

JIRO:「TILL KINGDOM COME」(※3)とか、最初は掛け合いもなかったですしね。「百花繚乱」(※4)が最後に「CRAZY DANCE」(※5)になるアレンジは、谷川さんがライブを観に来たことがきっかけで生まれたんですよ。俺はいなかったんだけど、打ち上げの場で谷川さんが、「もう、とことんバカな曲にしたほうがいい。あそこで"CRAZY DANCE"をやったらいいんじゃない?」と言ったらしくて。それで翌日、TAKUROが「そんなことを谷川さんに言われた」ってことで、「じゃあ、やってみるか!」みたいな感じで決まったんだよね。

※4:「TILL KINGDOM COME」「百花繚乱」
2014年11月5日発売13thアルバム『MUSIC LIFE』収録。
曲の試聴ははコチラ

※5:「CRAZY DANCE」
2013年11月27日発売、通算49枚目となるトリプルAサイドシングル「DIAMOND SKIN/虹のポケット/CRAZY DANCE」に収録。バンド結成し初めて作ったパンクナンバー。
曲の試聴ははコチラ

――大胆な意見も柔軟に取り入れてらっしゃるんですね!

JIRO:「ヤだよ~!」って言う人、一人ぐらいいてもいいよね(笑)。皆して「いいんじゃない? 面白いんじゃない?」ってことで、やることになったんです。

――どんな世代の人が観ても楽しめるようなエンターテインメント・ショーになっていた、とも感じるのですが、JIROさんにはそういう意識はありましたか?

JIRO:俺、自分が好きで観るライブはアリーナやドームクラスではないし、アリーナでやったとしても、俺たちほど演出に凝ってないバンドを観ることが多いから、比較して語るのは難しいんだけど……でも、結局俺たち自身にやりがいがあった、というのが一番いいんじゃないかな?と思うんですよね。TERUなんて、前乗り(※本番前日の現地入り)して、外にも出ないでライブだけに向けて集中していて、ステージで「楽しいよ、今日!」と言っている、その姿は後ろから俺が見てても本気ですからね。でも、そこを追求して行けばGLAYらしくなるんじゃないかな?と思うし、俺もやっぱりそうでありたいし。楽しい打ち上げのためにライブをやる、みたいな感じじゃないからね。最近だと逆に、打ち上げに行って二日酔いになるのがイヤだから帰ろう、みたいな(笑)。それでも寂しい気持ちにならないし、「俺もついにここまで来たか」という感じもあったりする(笑)。その反動で、飲みに行ってメンバーとワーッとしゃべるのが面白い、という時期もまた来るのかな?とも思うんだけどね。

――それほど、ステージ上で全部出し尽くせている、ということですよね?

JIRO:うん。それができたら、ファンの人たちも俺にとっても、ステージをつくっている皆にとっても、本当にこんなにいいことはない、と思うから。

――そして、アリーナツアーも無事に終わり、5月30日・31日に東京ドーム公演(※6)が近づいて来ています。JIROさんはどんな心構えで向かわれていますか?

JIRO:そうだなあ……でも、緊張しないと思うんですよね、俺。この間EXPOもやっているし、アリーナもいい流れで終えられたし。アリーナツアーからドームでガラッと内容を変えるというなら話は別だけど、あのアリーナの流れのいいところを汲みつつ、もうちょっとシングルを入れて、という構成になると思うから。今回のツアーは評判がいいので、アリーナと無理に変えなくてもファンの人たちも納得してくれるんじゃないかな?という想いもあって。だから、不安はないです。ただ、宮城(セキスイハイムスーパーアリーナ)公演が終わった後の数か月間、演奏面においても気持ち的な面でも、テンション的に落ちたくないので、せっせと自宅で練習しようかな、と。普段は家で練習なんて絶対にしないんだけど、それは義務としてやろうかな、と思ってます。

※6:東京ドーム公演

20th Anniversary Final GLAY in TOKYO DOME 2015 Miracle Music Hunt Forever
5月30日(土)31日(日)の2日間にわたって開催。
チケット一般発売は4月25日(土)
詳しくはコチラ


――明かせないことも多いと思いますが、東京ドームでは「こんなことをやりたい」というプランはもうあるのですか?

JIRO:衣装は早い段階から、「こんな感じで行きたい」というのは決まりました。いつもと若干テイストが違う感じ。

――アリーナツアーともまた違うんですか?

JIRO:うん、違う。たまたま街で見ていて、「あ、こういう感じを久々に着てみたら、東京ドームに来た人は面白がるんじゃないかな? ビックリするんじゃないかな?」っていうアイディアがあって。俺はそういうサプライズ的なことがやっぱり好きなんだよね。HISASHIのバースデー・イブ(2月1日の大阪城ホール)ライブの時に、メンバー全員でツートン・ヘアにしてステージに上がる、とかね。「皆やらねえ? どう?」って。

――あれはJIROさん発案だったんですか!?

JIRO:そう(笑)。俺たちがゾロゾロとステージに上がって行ったら、HISASHIが口をあんぐりしてたな。そういうのが好き(笑)。

――遊び心を失わないですよね(笑)。東京ドームという場所に対する特別な想いを持つファンの方が多いと思います。'05年の公演時と今とでは、GLAYの皆さんの精神状態も、随分違うでしょうね?

JIRO:2005年はまだ髪立てて、目元は超グルグルに真っ黒なメイクをしてたし、たしかに、今とは全然違うよね。さっき俺のラジオに届いた、「東京ドームのジャケット、ついに取りに行くんですね! 私はあの時小学生でした」というメッセージを読んでいて。「今自分は社会人になってそれを目撃する……こんな日が来るとは!」みたいな感じで、超盛り上がってるんですよ。「俺、その気持ちを完全に忘れている!」と反省して。俺たちなんて今、白いジャケットがやれ黄ばんで来ただの、カビ生えてただの、ちょっとギャグにしてたからね。「ダメだ、そんなこと言っちゃ!」「俺もこういう子たちのためにちゃんとやんないと!」と目が覚めました(笑)。東京ドームの空間ってやっぱり、すごく独特なものがあるし、めったに立てる場所でもないから、そういった意味でも楽しみにしていますね。

インタビュー:大前多恵