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Vol.69 TERU・南條愛乃・マイディー・小倉誠司(flumpool) FF14座談会【前編】



GLAYの「the other end of the globe」が主題歌に抜擢されたドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』。(※以後、ファイナルファンタジーXIVをFF14と表記)。実写によるリアルパートと、ゲーム内の世界エオルゼアパートが混在する映像世界は革新的で、大きな話題を呼んだ。原作ブログ『一撃確殺SS日記』筆者であり、ドラマの主人公であるマイディー氏とTERUは、2017年7月にファンクラブ会報誌上で対談を実施。その後親交を深めた2人に、今回は、ドラマのエオルゼアパ-トでマイディー氏の声を務めた声優・南條愛乃氏と、GLAYとかねてから親しく、FF14ではTERU同様立場を公表した上でプレイしている小倉誠司(flumpoolドラマー)氏を加え、4人の座談会が実現。GLAYのさいたまスーパーアリーナ公演終了の翌日、熱く繰り広げられたFF14談義をたっぷりと、前後編でお届け!(取材・文/大前多恵)



TERU:僕がFF14を始めてちょうど半年経つので、振り返りながらいろいろ話しましょう、ということでの座談会です。最近(ゲームの世界/エオルゼアに)インした時、南條さんともお会いしたんですよ。そこでいろいろと会話する中で、音楽の権利の話なんかもして。

南條愛乃:そうなんです。エオルゼアでガッツリと、すごく真面目な話をしましたよね(笑)。

マイディー:話し込みましたよね、結構。

TERU:そうそう。「えー? そんなことあるんですか?!」「知りませんでした!」なんて会話をしていて、そこに誠司もいまして。

小倉誠司:はい。

南條:誠司さんとは、私が仲良くしている友人の義理の弟さんということで、元々親交がありまして。ある時、最初はマイディーさんと話してたんですけど、そこにムッキーちゃん(TERUのキャラクターMUKKY♡QUEENの愛称)を呼んでくださったのが初めての対面でした。

TERU:ちょうどGLAYの「the other end of the globe」をFF14の中で流せるよう、権利会社に申請していて、もう少しで許諾をいただける、という一報が届いた時にちょうどインしてたんですよ。今後そういう展開をしていく中で、音楽業界とゲーム業界の垣根を越えていきたいね、という話を南條さんともしていて。少しずつ殻を破っていく、じゃないですけども。半年やってきて、権利問題ってゲームの中ではすごく厳しいんだな、と。意外とルールがすごくあるんですよね。MMO(MMORPGの略。大規模同時参加型オンラインRPG)の世界に初めて入った時は、何でもアリだと思ってたんですよ。

マイディー:あぁ、なるほど。

TERU:何も知らずにいたところ、MUKKY♡QUEENという僕のキャラクターにちょっと似ている名前のキャラクターでムッキー××××という人が出てきまして。(※TERUは自身のエオルゼア内での女性キャラクターMUKKY♡QUEEN名義でのTwitterアカウントを作成、ゲームと連動し、ファンとの交流に活用している)

一同:(笑)。

TERU:簡単に説明すると…僕が、ゲーム内で洋服を作って売っていたんですよ。そうしたらその子もムッキー××××として売り始めて、(MUKKY♡QUEENと)間違って買う人が出て来てしまったのを僕が見つけて。それをTwitterで、ムッキー××××のを「これはバツ」と書いて投稿したら、周りから「TERUさん! それは“違法”じゃないので」と言われてしまい、「え、そうなの?」って。「“晒し”と言って、ハラスメント行為になってしまうから、辞めたほうがいいですよ。今すぐ削除してください!」と言われて、ポチッと削除ボタンを押しまして(笑)。「アブねー!」っていう。

一同:(笑)。

マイディー:オンラインゲームって、皆でその世界を共有するので、やっぱりプレイヤーはその世界のことをどんどん好きになっていくんですね。好きになっていく中で、逆に「そこでのルールをものすごく守りたい」「守らなきゃダメなんだよ」というふうに、どうしてもなってくる。「君、黄色なのに進むなんて、それはダメだよ!」みたいな感じで、自治していく人たちがどんどん増えてきたりして。逆にそれが、ムッキーさんの言う自由度を縛ってるのかな?という部分はありますね。悪いことではないんですけど、どうしてもそれによってがんじがらめになってしまいつつあるのかな?というのが現状だと思いますね。

自治しようとする人たちが複数いて、立場の違いが派閥を生む、なんてこともあるんですか?


TERU:同じ想いをしてる人たちが集まって、派閥みたいになってきている感じはありますよね? 

南條:そうですね。いろんな人が集まって、“社会の縮図”という感じはします。

TERU:それ、分かります!

南條:やっぱり何人もが集まって遊ぶゲームじゃないですか? 画面の向こうには人間がいる、ということを考えなければいけないですよね。実際にプレイしている方たちの年齢層は分からないんですけど、夏休みとかになると、光の戦士を親に持つ低年齢層が増えているみたいで。一緒にプレイしているのかな?

小倉:へぇ、そうなんですね。

南條:ゲームの中とは言え相手は人間なんだよ、ということを、あまり実感できない世代の子が多いと、けっこう過激な言葉が飛び交う、みたいな。今だとSNSが主流になっているから、簡単に人とコミュニケーションを取れるのが普通になっている子も多いと思うんですけど、私が学生の時は文通とかでしたから。だから、こんなにすぐに人とやり取りできるのはすごいことだなと思う反面、他人と関わることに対して壁がなく、ハードルが低い子たちは、「そこに人がいるんだ」というところがまだあまり分からないのかな?と思う時もありますね。

TERU:小学生の間でそういうイジメがあるんだよね。LINEのグループの中で仲間外れにしたり…MMOの中にもそういう社会があるんですよ。僕は自分の名前をオープンにして活動していて。誠司も同じように自分の名前のキャラクターでやり始めているんだよね。結構、影響あった? 

小倉:僕ですか? 全くないです。

一同:(爆笑)。

小倉:(笑)だって、僕を含めてフリーカンパニー(以下、「FC」 ※FF14内の冒険者どうしで結成する、傭兵団的な組織 )はまだ4人しかいないんですよ?

マイディー:一番幸せな形かもしれないですね(笑)。



小倉:僕も元々FFをやっていたんですけど、TERUさんの最近始められたことが本当に素晴らしいことだな、と思いまして。Twitter上でムッキーちゃんという名前を明かしてファンの方たちと交流する、ということに対してすごく憧れがあったので、「僕もやりたい!」と思って名前を出して始めたんです。マイディーさんともいろいろとお話させてもらって、「どのタイミングで出しましょうか?」と相談して。TERUさんの場合は、公表した瞬間にサーバーが過密状態になってしまい、それによって一気に“鎖国”。誰も入れなくなっちゃったんですよね(笑)。今はflumpoolのファンも、「入りたいんですけど、もう入れないです」という状況になっていて。だから僕のFCは、元々ゲームをしていたごく少数の方たちが集まって…という形なので、まだ4人です(笑)。

南條:一気に大都会になりましたもんね。グングニルサーバーというところでやられてるんですけど、もう、一気に定員オーバーです!みたいな感じになっていて。

TERU:それがいいことなのか悪いことなのか、分からないですけどね(笑)。

マイディー:元々はすごく古い、8年ぐらいの歴史があるサーバーなんですよ。

TERU:あ、そうなんですね?

マイディー:レガシーサーバーと言いまして、古くからいる人が多いサーバーなんですね。だから「昔の雰囲気のままのんびりしたい」という人たちも多くて。それが、ドラマの舞台になったり「GLAYのTERUが来たぞ!」ということで若干騒がしくなったり…人が溢れている状態に戸惑っている人がいるのも事実ですね。

人が増えたことによるメリットもあるのですか?


マイディー:いい部分としては、閑散としているよりは人が多いほうが賑やかですし、いろんな友だちができる機会ももちろん、増えますから。

TERU:あと、24人集めてプレイするコンテンツがあるんですけど、そのメンバーが集まりやすいですよね。

マイディー:そうですね、「身内でやろう」という場合にはすごくいいんですけど、逆に、「僕も友だちを誘って一緒にやりたい」と思っても、今はもう定員一杯になっているので、一緒に遊べない、というデメリットもあって…それが問題ですね。

解決法はないのですか?


マイディー:神頼みしかないですね。神様!

南條:吉田P様(笑)!(※吉田直樹氏。FF14のプロデューサー兼ディレクター)

マイディー:「もうちょっと人を増やせるようにしてください」と毎日、皆で輪になって祈ってます。

南條:輪になって(笑)。祈りが届くといいですね。

TERU:吉田Pには僕も直訴したんですけどね。ゲームの神と呼ばれている、FF14のプロデューサー兼ディレクターの吉田PがGLAYのライヴを観に来てくれて。打ち上げも皆で、「今一番変えてほしいことを一人一個ずつ言っていく」っていう(笑)。でも、「特別扱いはしません」と言われました(笑)。

プレイスタイルの違いについて更に詳しく伺いたいのですが、TERUさんと誠司さんはお名前を明かしていて、南條さんはお忍びで。


南條:そうですね。

TERU:女性はやっぱり難しいですよね。女性と男性の違いは大きいかもしれない。

南條:私は、4年前に新生エオルゼアになったタイミングでこのゲームを知って、完全に一人で、名前も公表せずに始めていて。なので、私が南條愛乃だということを知らずに知り合えたオンラインゲーム上のお友だちもいるんですね。今となってはFF14でラジオ(Webラジオ番組『南條愛乃・エオルゼアより愛をこめて』)をさせてもらったりとか、『光のお父さん』でもマイディーさん役をさせていただいたりとか、ゲームに登場するキャラクターの声も当てさせていただいている中で、「実は私南條愛乃でした」と明かしてしまうと、今までに出来ていた交流関係が崩れちゃうな、と…。

TERU:そうだねぇ。

南條:「普段どういうところで遊んでるんですか?」とか、ファンの子たちがもっとプライベートなところで近付いて来てしまうと、周りの人たちにもいろんな影響が出ちゃうかな?と思っていて。でも、ムッキーちゃんは…(※と思わず話し掛ける)あっ、TERUさんは…。

一同:(笑)。

TERU:あはは! 今日はムッキーちゃんでいいですよ(笑)。このおじさんを見て「ムッキーちゃん」と呼ぶのも何だかおかしいですけど(笑)。

南條:もう最近はTERUさんがムッキーちゃんにしか見えないですもん(笑)。TERUさんも誠司さんも最初からオープンにされているから、私が遊んできたのとはまた全然違うやり方をされていて、ファンの方たちもそれは絶対うれしいと思いますし。それによってこのFF14に新しい風が吹き込んで来た感じがすごくあって、ビックリしました。最初、TERUさんが始められたというのを知って、そのうちムッキーちゃんのスクショをTwitterに載せられたのを見て、「これ、バレちゃうんじゃないかな?」とドキドキしていたんです。そうしたら間もなく公開されていたので、「あぁ、新しいやり方だなあ」と思いました。

マイディー:じわじわと公開したんですよね。

TERU:「目元だけでもバレますよ?」って言われた(笑)。



誠司さんは、南條さんのような匿名の楽しみ方のほうがいいかな?とか、始める際に迷われませんでしたか?


小倉:いや、全然。むしろ早くオープンにしたいな、と思っていたので。これはプレイスタイルと考え方の違いで、一人で黙々とやるのもいいと思うんですけど、せっかくだったら…言葉は悪いかもしれないですけど、仕事に繋がったほうがやっぱり面白いと僕は思うんです。南條さんだったら、オープンにはされていないですけど、ラジオであったり、やっぱり何かに繋がったりしているわけじゃないですか? それがTERUさんの場合はファンの方たちとの交流であったり。だから僕も、「せっかくやるんだったら」という想いはありましたね。

今後は誠司さんもファンの方との交流の場としてFF14を活用していけたら、という願いがあるんでしょうか?


小倉:そうしたいんですけれどもね。いかんせん、バンド本体が今ちょっと大変な局面で…(※ヴォーカルの山村隆太が歌唱時機能性発声障害を発症し、2017年12月6日にバンドの活動休止を発表)。「その間にお前、何やってんだ?」っていう見方もあるでしょうし。その捉えられ方も僕は正直、好きではないんですけどね。バンド活動休止中に、曲をつくります、ドラムを練習します、というのは良くても、「なんでゲームしてるの?」と悪く捉えられる風潮がある。でも、「ゲームでファンと交流します」というのは、いいことじゃないですか? 

TERU:うん、そうだよね。

小倉:なのに、世間にはそれを「え、なんで?」と思われてしまうので…。

TERU:そもそも僕がFF14を始めるきっかけになったのは、ファンと交流したい、という発想だったんですね。23年間GLAYの活動をいろいろとやってきて、近年はTwitter上でもファンの子たちと交流していたんだけども、周りからのガヤもあって、それもけっこう厳しい状況があって。だったら、より近いところでコミュニケーションを取れる場所を、ということで、「あ! ゲームという世界はいいな」と考えて。昔からゲームの中では、「自分の友だち(フレンド)はファンの子」というスタイルで、ここ10年ぐらいやり続けてきていて。モンスターハンターで初めて、ちゃんと公開した上で皆でゲームをやり始めて、その楽しさを知っていたんですね。だからFF14も「どうせやるんだったらファンの子たちを巻き込んで、一緒にやろうかな」と、やっぱりファンサービスの一環としてやっているんですね。そのやり方が根付けば、誠司もたぶん「なんでゲームやってるんだ?」ではなく、「あぁ、こんなに大変な時期なのに、ゲームの中でファンの子たちと交流してくれているんだな」と受け入れられるだろうし。そういう考え方になってくれるといいんだけど。

マイディー:うん、そうなったらすごいですよね。

小倉:そうですね。

TERU:そういう想いの下、Twitterとリンクしてやり始めたんだけども、やっぱりいろんなところからいろんな人たちが来て、ファンの子たちがいろんなところで晒されたり、ネット上で文句を言われたりとかして、すごくつらい思いをしていたので…今はTwitterで鍵付きのアカウントをつくっていて。FCの中の子たちにとにかくTwitterをやってもらい、相互フォローしてやり取りしていて、今そのメンバーが290人いるのかな? それで、零式に行く時にはそこで募集を掛けて、チームをつくったりしています。零式というのは、高難度コンテンツなんですけども。

二層をクリアされたんですよね?(※2017年12月4日のTwitter投稿より)

TERU:はい、そうです(笑)。ごく少数の人たちとのコミュニケーションになるし、FF14に特化してしまうんだけど、ファンサービスとしてそれを始めていて。でも、鍵付きアカウントになってしまったので、FF14をやっていないファンの子たちがすごく寂しがっていてね。

南條:うーん、難しいですよねぇ…。

TERU:そうなんです。そのバランスをどう取ろうかな?と。難しいなぁと思っています。

マイディー:そこで「じゃあ、私もFF始める!」と言っても、今(定員オーバーで)グングニルに来られない状況ですもんね。

TERU:だから今、モンハンをまたダウンロードして、モンハンチームはモンハンチームで、FFはFFでやろうかな?と動き始めたところです。「TERUさん、何人いるんですか?」って言われる(笑)。

南條:すごいですね! より一層忙しくなりますね(笑)。

TERU:ライヴの直前にTwitterでムッキーちゃんの写真をアップしていたりするので、「本物のTERUさんですか? さっきあそこにいましたよね?」って驚かれたり(笑)。

マイディー:すごいですよねぇ。

TERU:「皆で楽しもうよ」という遊び心で始めたことではあるんだけど、病気で外に出られなくてずっと閉じこもりながらゲームをやっていたような子とそこで知り合って、「すごく助かりました」なんていう言葉が届いてくると、「あぁ、やってよかったな」とは思いますね。

マイディー:その話を聞いた時は僕も感動しましたし、「あぁ、それはTERUさんだから出来るんだな」と思いましたね。

南條:私も今はFF14のラジオをやっているんですけど、番組がスタートする時、「ラジオ用に一人キャラクターをつくって公開して、その子を育てながらやるラジオはどうですか?」という提案もしてたんです。でも、当時は前例がなかったんですよ。性別というのはあまり気にしたくないですけど、やっぱり私は女性だし、一人でゲームをしている時にどんな人がどういうふうに接してくるか分からないから、という理由でその提案は実現しなくて。そして、その数年後にTERUさんがムッキーちゃんというキャラクターをつくられて。私が出来なかったことを、TERUさんはどんどん道を切り開いて実行していってくださっているので、すごいんですよ。

マイディー:まさにタンク(※FF14内のダンジョンなどでパーティの先陣をきって突入し、敵の攻撃を一手に受ける盾のような役割)ですね!

南條:ホントですよ、まさにタンク。

小倉:あはは!

TERU:そうです、ヘイト(※敵対心、敵視を向けられること。この値を自ら稼ぐことでパーティのメンバーを守る)を取りながら行きますから(笑)。

マイディー:カッコええわ!

南條:そういう前例のないこと、始めたてのことに対しては拒絶反応が出ちゃう子も多いと思うので、今は本当に大変だと思うんですけど。これが根付いて普通の、当たり前のことになってくれたら、もっと他のいろんな業界からそういう楽しみ方をする人が出て来るんじゃないかな?と思います。私がそもそもFF14を始めたきっかけは、あ、なんか…私の話ですみません!

一同:いやいや(笑)。

TERU:それを聞きたいのでお呼びしたんです、いくらでも話してください(笑)。

マイディー:3時間ぐらいしゃべってもらえれば(笑)。僕ら「うん、うん」と頷いてますんで。

小倉:あはは!

南條:本当ですか(笑)? 実は私、そもそもあまり表に出たくなくて声優という職業を選んだんですけど…。

TERU:そうなんだ?

南條:はい。でも今は時代が変わってしまっていて。アニメ業界の中で盛り上がるコンテンツがいくつかあったりして、自分が思っている自分像と周りの抱く自分像が、離れていってしまったと感じていたんです。自分としてはチマチマとモノづくりをするのが好きで、という自分像だったんですけど、周りのお客さんやスタッフさんからは、「南條さん! 差し入れお持ちしました!」みたいな接し方をされるなど…自分の思っている以上に持ち上げられてしまった、というか…。自分像と、今扱われている自分像とのギャップを感じる時期が生まれてしまって。その時、誰と話していても中身の私と話してくれてない感じがしちゃっていたんですよ。

TERU:あぁ、分かる。

南條:“南條愛乃という人物”というか、名前と話している、みたいな。元々の性格もあって、それにちょっと疲れちゃったな、と思っていた時にFF14に出会って。14の世界の中だと、もちろん誰も私が南條愛乃だって知らないじゃないですか? でも仲良くなれるし、友だちができる、というのがうれしくて。仕事をやっていく中でのちょっとした息抜きにもなっていたし、「本当の自分としゃべってくれる人がいる」というのがまたモチベーションにもなって、「より仕事も頑張ろう!」という感じになったんです。だから、始めたきっかけがTERUさんや誠司さんとはそもそも違うんですけど。いろんな目的を持って人が集まっている場所だと思うんですよね。それぞれに皆が心地いい遊び方ができるのが普通になるといいですね。「やってないことだから、それは違う!」とかじゃなくて、皆が楽しくいられる場所だといいな、と思います。

誠司さんは今、南條さんのお話に深く頷いてらっしゃいましたけど。

小倉:僕はこうしてFF14をやっていて、すごく良かったなと思うことがあって。リアルの世界でも人間関係って面倒臭いし、難しいところがたくさんあるのに、FFの世界でもやっぱり社会の縮図みたいな人間関係があって、「あぁ、こんなややこしいんだな!」とは思うんですね。

マイディー:いやぁ、あれは特別だったと思う…(笑)。

何か事件があったのですか?

小倉:はい、トラブルというか、その影響が僕のところにすごく来たことがあって。

TERU:そういうこと、いっぱいあるよね。

小倉:オンラインゲームの世界で何が難しいかというと、やっぱりチャットなんですね。対面して話すのであれば、表情とかである程度分かる部分もあるじゃないですか? でも文章だけなので、相手がどう思ってるのかをすごく読み取りづらいな、と感じたり。だからこそ伝わりやすい文章を考えるんですけど、それも勉強になりますし。「リアルの世界でも、もっとこういうふうに伝えてあげたら相手には伝わりやすいんだ」と気付いたり。そういう面でも、FFをやっていると「面白いなぁ」と思いますね。

TERU:言葉を短くまとめる、ということに頭を使うようになるよね。

小倉:あぁ、そうですね。

TERU:チャットはすぐ流れていってしまうので、「自分の想いをどう伝えるか?」というのを瞬時に考えるようになるんです。

マイディー:僕はずっとやってきていて、そうすると文章だけでも「あ、怒ってるな」とか、「あ、今ちょっと引いたな」とか、分かるようになりますよ。行間の“間(ま)”とかで何となく伝わるようにはなってきますよね、不思議なもので。

南條:たしかに、そうですね。「今、誰も聞いてないな」みたいな。そういうのが分る時、ありますよね(笑)。

マイディー:今日は機嫌がいいな、悪いな、とか。



TERU:5時間ぐらいチャットで会議したことありますよ。

5時間! 何が議題だったんですか?

TERU:その時は、問題になった方がいて…。

南條:あらぁ! マスター、大変ですね!

TERU:その子をなぜ退会させないんだ?という。それほど周りに悪影響を与えているんだから、マスターとして然るべき対処をするべきだ、ということで、10人ぐらいに総攻撃されて。FCハウスの中で、座りながら(笑)。

マイディー:僕はその状況をFCハウスの外から見守ってましたけどね(笑)。「どういう決断をするんやろうな?」と思いながらムッキーさんの話を聞いていて、「やっぱりそこまで徹底してやられるんやな。なるほど」と思ったし、そういう気持ちが伝われば、きっと皆分かってくれるだろうなって思いましたよ。

TERU:そうですね。こっちが本気で向かっていくとちゃんと本気で返してくれるのは分かっているので、自分の思ったことはちゃんと伝えるし。“GLAYのTERU”としての立場じゃなくて、FCのマスターとしての立場でね。そもそも僕はそういうのが大好きで、サッカーなどでもいろんなチームをつくって、50人、100人といる中でずっとやり続けてるタイプなんですよ。ゲームの世界でも同じ気質で、人がたくさん集まっても常に一人一人に対して本気だし、“GLAYのTERU”として付き合ったことはほとんどないので。だから付き合いやすいしね。あと、さっき南條さんがおっしゃっていた、“自分の本質と会話してくれていない”という意識も以前あったんだけど、だからこそ自らそういうチームをつくって、個人として付き合ってくれる人を集めてやっているんだと思う。

南條:あぁ、そうなんですね!

TERU:そう。やっぱり'99年、'98年とか、GLAYの人気がグワッと出た時には、そういう感じはあったんです。どこへ行っても持ち上げられて、周囲のスタッフには勘違いした人がいっぱい増えてきてね。自分じゃなくてお金と話をされているように感じた時期もあったので、それ以降、「だったら、自分としてどう楽しんでいくか?」というのを考えるようになって。“GLAYのTERU”というこの実体からはもう逃げることもできないし、「これで生きていこう」とは思っていたから。

南條:そうだったんですね。でも、すごいですよね。マイディーさんもそうですけど、マスターって本当に大変だと思うんですよ。人が集まる場所で、そのトップですからね。

TERU:僕の信条としては、ルールはあって。「これだけは言っておく。この世界に平等ということはない」ってことをメンバーにはちゃんと伝えているんです。零式も8人(の固定メンバー)で行ったんですけど、「“固定”と言わないほうがいい」と(メンバー自身に)言われて、「なんでそうやって隠すの?」と。コソコソやるのってカッコ悪くないか?と思ったから、説得した上で、固定という言葉を遣ったんですよ。そうしたら、たしかに嫉妬の言葉は届いたけど、「(※ドスの効いた声で)マスターと一緒にやりたいんだったら、それなりのレベルになって上がって来いよ、お前らー!」っていう。

一同:(笑)。

南條:「上手くなれよ!」って(笑)。

TERU:…という感じで零式のチームをつくったら、皆がこぞって入って来て。今一生懸命零式の二層をクリアしようとしていて、頑張ってますよ。「クリアした人にはトレカ作ってあげるからね」と言ったら、「やったー!」と喜んでました(笑)。そういうのが好きなんですね、僕は。得意なんだと思う。皆が平等だと思ってしまうから嫉妬が出てくるけど、「平等じゃないんだよ?」と言い続けると、「じゃあ私が頑張るしかないんだな」となるんだろうし。僕は徒競走でも1位、2位を付けないのは「なぜだろう?」と思うタイプなので。順位を付けたほうが絶対、頑張れるはず。

南條:そうですね。

TERU
頑張らない人のレベルに合せたら絶対ダメ。頑張る人のレベルに合わせていくっていうことだよね。まぁ、この考え方に付いてこられない人たちもいて、512人いたFCがだんだん減って、今380人になってるけど(笑)。

マイディー:平等というのはすごく聴き心地のいい言葉で、「ゲームの世界は皆平等だ」と言うと安心できる人がもちろん、多いんですよね。僕も平等であってほしいとは思うんですけど、それはスタートが平等であってほしい、ということなんです。肌の色や性別が違うからとかではなく、誰でも好きな形でスタートができる。そこから先は競争の世界だ、と僕は思ってますね。でも、そこを勘違いしてる人たちは「全員平等に暮らせないとダメだ」みたいな感じになるので、ゲームに対する要望も、「もっと簡単にしろ」とか。「下手な人でもちゃんと遊べるようにしろ」という主張も多いですし。でもゲームってやっぱり、努力が楽しい、クリアできないから頑張りたい、というのがあるじゃないですか? それを、「平等だから」という言葉に操られて「どんどん甘やかしてほしい」と言っている気がするんですよね。ポン!とすごい才能が出て来た時に、「それは平等じゃないから」と言って引きずり降ろそうとする風潮もあるし、そこに暗黒面を感じます。現実社会で上からウワーッと言われているような人たちが、ゲームの世界に平等を求める、という気持ちも分からないではないんですけども…。

TERU:そうですよね~…それは分かるけど。

小倉:うん…。

南條:そうですね…。

マイディー:だからこそ「こっちでも頑張らないと」と思える人と、皆がいろいろ持ってきてくれるのを待っているだけの人とに別れるのかな?と。待っているだけの人のやり方を「違うんだ!」と責めるんじゃなくて、「頑張ることが楽しいんだ」というのを伝えていきたいなと、僕もブログを書きながら思ってるんですけどね。ゲームを楽しいと思えれば、今度は逆にその経験が、その人のリアルの生活にも影響していって、「明日の仕事も頑張ろう!」と思えるようになってくれるかな?と思ってるんですけど。僕はそういう部分にオンラインゲームの可能性をすごく感じるんですよね。

【後編】に続く(近日公開)