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Vol.70 TERU・南條愛乃・マイディー・小倉誠司(flumpool) FF14座談会【後編】



GLAYの「the other end of the globe」が主題歌に抜擢されたドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』。(※以後、ファイナルファンタジーXIVをFF14と表記)。実写によるリアルパートと、ゲーム内の世界エオルゼアパートが混在する映像世界は革新的で、大きな話題を呼んだ。原作ブログ『一撃確殺SS日記』筆者であり、ドラマの主人公であるマイディー氏とTERUは、2017年7月にファンクラブ会報誌上で対談を実施。その後親交を深めた2人に、今回は、ドラマのエオルゼアパ-トでマイディー氏の声を務めた声優・南條愛乃氏と、GLAYとかねてから親しく、FF14ではTERU同様立場を公表した上でプレイしている小倉誠司(flumpoolドラマー)氏を加え、4人の座談会が実現。GLAYのさいたまスーパーアリーナ公演終了の翌日、熱く繰り広げられたFF14談義をたっぷりと、前後編でお届け!(取材・文/大前多恵)



南條愛乃:リアルとゲームの世界は、すごく影響し合っているんですよね。

マイディー:そうですよね。相互に影響し合って、南條さんがおっしゃっていたように、“普段の私”として付き合ってくれる仲間がゲームの中にいるから、仕事を頑張ろう、とか。(小倉)誠司さんが言っておられたみたいに「仕事に繋がっていけば」とか、広がりに繋げていくような使い方もできるし。どちらが正しい、じゃなくてね。自分と“もう一人の自分”を持てるのがオンラインゲームなので、それを上手く使って、イコールで結んでもいいし、ノットイコールで全然違う活力・エネルギーとして養ってもいいし。だからこそ楽しいですし、いろんな人がいていいと思う。

南條:そうですよね。ゲームの中だと、普段何をしているか分からない人たちがいっぱいいるので、日常では出会うきっかけがないような職業の方とも、知らない間にチームになっていたりもするわけで。そこから学べることもあって、「この人の場の盛り上げ方、上手だな」と感じたり、人を動かす一言、率先力は「勉強になるなぁ」と思ったり。ゲームであっても、そこで得た刺激を自分に活かせることが多いんです。

TERU:うん、多いね。

南條:それはきっと、FF14のグラフィックがすごく綺麗だったりして、リアルに感じられる部分が更に相乗効果をもたらしてくれている、と思うんですけど。“社会の縮図”だと最初に言いましたけど、「勉強になるなぁ」ということも多いので、とにかく「所詮ゲームでしょ?」と言って毛嫌いしてほしくないな、と思いますね。なかなか外に出られない中でゲームをされている方もいらっしゃるし、そこはその方にとって“開いている世界”だと思うので。「たかがゲーム」じゃないんですよね、やっぱり。

生のリアルな感情のやり取りがされている場なんですよね。

南條:はい、画面の向こうには実際にリアルな人間がいるし、その人から言ってもらった温かい言葉は、お世辞じゃなくて。姿形が見えないから、いくらでも邪険にしようと思えばできるし、面倒臭いと思ったら逃げることもできる中で向き合ってくれる人というのは、本当に自分に対してその言葉をくれている人だと思うし。逆にリアルでは感じられないようなこともいっぱいあって、本質的な部分で物事を感じられる場所だなぁ、と思います。

TERU:そうだよね。オンラインゲームでキャラクターとしてやっている分、意外と本当の自分が出てるかもしれないね。「どうせ攻撃されないだろう」と思うからこそ、言葉のキツい人もいるだろうし。会社の中で上からいろいろ言われてフラストレーションの溜まっている人たちが、それを吐き出すためにやっている場合は、そうなるかもしれないよね。そういう人たちがいる一方で、やっぱり「ゲームの中も社会と一緒だよ?」というところで、僕はマスターとしては「言葉遣いをしっかりしよう」と言ってるんだけど。

南條:すごい、マスターだ!(笑)。

TERU:そうそう(笑)。「外へ行ったらFCHSの看板背負ってるんだから」とも伝えてるし、「規律を守ってゲームを楽しみましょう」ということをすごく伝えていて。FCのお庭というのがあるんですけど、多い時は50人ぐらいそこに集まって会話してることもありますよ。普段会えない人たちがそこに集まって、リアルな社会で活動している中でつらいことがあったら相談したり、「こういうことあったんだけども…」と話して、聴いてもらうっていう。やっぱり人って聴いてもらうと落ち着くと思うので、そういう吐き出し口としてもいい場なんじゃないかな?と思っています。

南條:チャットだけして一日が終わっちゃうこと、ありますよね(笑)。

TERU:そうそう(笑)。マイディーさんと2人で5時間ぐらいずっと話していて、「もう3時ですよ。そろそろ落ちましょうか?」なんて(笑)。チャットがまた、面白いんですよね。

マイディー:時間経つのがすごく早いんですよ。

小倉誠司:ゲームの中なのに、キャラクター同士で「じゃあ、ちゃんと会って相談しよう」っていうのがまた面白いんですよね。別に会わなくても、SNSとかで会話できるんですけど。お庭があったらお庭で、ちゃんとキャラ同士会って。

マイディー:会って、そこに座ってね。

TERU:今うちのFCの庭に焚き火があって、円いところに15人ぐらい座れるんだけど、そこで皆「なんか、温かい気がする!」みたいなことを言いながら(笑)。

一同:(笑)。



TERU:その視覚からの情報って、すごいんだよね。

南條:ありますね、うん!

TERU:これは最近あったことなんだけど、FCでずっと一緒に活動している病気がちな女性がいるんです。その女性に、「ムッキーちゃんに会うとうれしくて、普段効かない痛み止めが効いたような感じになる」と言われたことがあって、このゲームの可能性も感じたりしました。ライヴに来てくれて、ライヴを観てすごく元気になるのと一緒、というか。そういうことに期待しながらやっている部分もあるんです。だからマイディーさんにも「こういうことをしたいんです」と相談していて。

マイディー:最初からそうでしたね。

TERU:はい、目標は決まっていたので。

マイディーさんは、どんなアドバイスをなさっているんですか?

マイディー:僕はずっとそこ(ゲームの世界)に住んでいる人たちを見てきたので、どうしたら「おっ!」と思われるか、とかがなんとなく分かる部分はあったんです。いきなり「レベル1です、頑張ります」というよりは、ちょっと進んでから「実は、FF14やってました」と明かすほうが、「あ、頑張ってきはったんやな」とは伝わるでしょうし。

TERU:「ジャンプ(※課金アイテムを使ってキャラクターのレベルを上げること)しても大丈夫ですかね?」と相談しましたよね(笑)。マイディーさんは、「プロデューサーは、今ゲームを楽しんでいる人たちと一緒にプレイできるようなレベルになるために、ジャンプができるようにしてくれているので、大丈夫だと思います!」とアドバイスしてくださって、「本当ですか⁉ じゃあ、上げちゃいますね!」って。(笑)。

南條小倉:(笑)。

マイディー:TERUさんの目標が、「このゲームをただ楽しみたい、遊びたい」というだけだったら、「ジャンプは辞めときましょう」と僕はアドバイスするんですよ。1から積み上げていくほうが実感も湧きますし、ゲームとしても楽しいです。ただ、TERUさんのおっしゃっていたのは「ファンの皆と交流したい」ということなので、それはもうジャンプしたほうが早く皆さんと一緒にいろいろなところへ行けるようにはなりますから。それだったら僕は「全然アリやな」と思ったんです。やっぱり、いろんな楽しみ方があって、ルールは自分で決めて進んでいくのがオンラインゲームなので。ジャンプを使うとゲームの楽しみを縮小すると皆思いがちなんですけど、それはシステムとして提供されてるわけですから、悪くもなんともないので、目標に応じて使えるものはバンバン使えばいいのに、と僕は思うんですけどね。

TERU:でもね、FF14では、「どうせジャンプしたんだろ?」とかって言う人がいるんですよ。

小倉:あはは!

TERU:「500人も集めてるマスターがジャンプして、どうなんだよ?」という陰口が、遠くから聞こえてくるんです。

マイディー:遠くから(笑)。

TERU:オフィサーという役割のメンバーがそういう情報をいっぱい集めてきて、「マスター、こんなこと言われてます!」と僕の耳に入れてくれるので、「そっか、じゃあちょっと頑張るか!」と。零式もそうなんだけど、二層にはスイッチというのがあって、タンク2人がメインとサブを交代しながら上手くやらないと全滅してしまう、そういう高難度のコンテンツなんですね。だからこそ、それをクリアしたら「スイッチはちゃんとできてるんだな」という証になる。「『どうせスイッチもできないんだろ?』って言われてますよ? どうします?」というオフィサー情報を聞いて、1週間ぐらいスイッチの練習ばかりして、二層をクリアしたんです。「よっしゃ! じゃあこれをtweetするからな!」「是非、お願いします! きっとみんな喜びますよ!」というやり取りがあって。まとめサイトのニュースになりました(笑)。

一同:(笑)。

南條:すごい(笑)。

マイディー:そんなヤジにも真剣に対応していく、というのがすごいですよね(笑)。

TERU:僕はどうしてもヤジを無視できないんですよ(笑)。何か言われてたら「ちょっと情報を集めてくれ」と指示してオフィサーに集めてもらっているぐらいなので。「今度は『三層を越えなかったら本物じゃない』って言われてますよ?」「じゃあ、三層越え、やるぞ!」と。それで固定をつくったら皆に嫉妬されたので、「じゃあ、おまえらもついて来い!」ってことで、零式をクリアするチームをまた拡大して。今では50人ぐらいになりましたね。

南條:いやぁ、半年で零式二層をクリアするっていうのは、すごいハイスピードだと思います。私はもう4年やってるんですけど、TERUさんのほうが先に行ってます(笑)。

TERU:あはは! 悔しいんですよね(笑)。



誠司さんは、ゲームの世界の中で完全に架空の自分をつくり、立場も明かさず、そこで本音を思い切り出したい、という欲求はなかったのですか?

小倉:多少はあると思いますよ。僕自身はコミュニケーションが得意ではないので、うまく想いを伝えたり、しゃべったりするのが本当は苦手なんですよね。でも、ゲームの中で、文章だったら気楽に、普段しゃべっていない、晒していない自分を出せる、というのは正直ありますね。ファンの方に対してもそうだろうし、ファンじゃなくて普通に出会った方に対してもそうだし。本当に“気楽”という言葉が、感覚としては一番合う気がします。

ゲームの場が癒しにもなっていますか?

小倉:そうですね。基本ゲームが好きなので、趣味でもありますし、癒しでもありますし。でもやっぱり、架空の自分をつくり上げている部分はありますかね。MMOというのは、キャラクターをつくり上げる時点で、“もう一人の自分”をつくることになるわけなので、そこには普段自分が出してない部分を「この子には(込めたい)」という愛情や想いがどうしても入ってきてしまうんですよ。意識していない、晒していない、と思っていてもやっぱり、晒していますよね。

TERU:誠司の場合は自分の分身だけど、僕の場合は、「一緒に旅をするならかわいい子がいい!」という想いから、ムッキーちゃんというキャラクターをつくりあげてますからね。「いい女だなぁ、ムッキーちゃん! かわいいなぁ」って言いながらやってるよね(笑)。

一同:(笑)。

TERU:だから、同じように公表してやってはいるけど、誠司とはまた出発点が違うっていう。

南條:面白いですね。

誠司さんは、FF14の中での“もう一人の自分”をつくったことで、現実世界にいいフィードバックがあったな、と思うことはありますか?

小倉:僕、本当はもっと無邪気になりたいんですよ。ファンの方や周りの人が、“flumpoolのリーダーでドラムの小倉誠司”というキャラクターをつくっているわけじゃないですか? 「あ、リーダーなら、しっかりしてる人なんだ」というイメージだったり。それは僕が望んでいない部分もあったりして…本当はもっと馬鹿したい!とか。でも、キャラクターや性格って、世間がつくるものなんですよね。だから、自分が吐き出したい部分、「もっと無邪気になりたい」という部分をキャラクターに込めているんです。特に、FFの場合は“種族”を選べるので、僕はララフェルという、無邪気に振る舞っても「かわいらしい」で済むような、愛らしい存在にしていて。その子を通じて無邪気な部分を出すことによって、現実世界でも、「あ、そういう部分を出してもいいんだ」と思えるようになりましたね。

TERU:だからなのか、最近の会話で誠司は「〇〇でちゅよ~」とか言ってるよね。「お~、誠司、変わったな」って。

マイディー:ホンマに!? それ、変わって大丈夫やったのかな?

TERU:ちゃんとフィードバックしてますから。あはは!

小倉:それ、マイナスじゃないですか(笑)!

でも、母性本能をくすぐるキャラクターで、かわいいかもしれません(笑)。

南條:えっ、本当に言ってるんですか!?

小倉:言ってないです!(笑)。

一同:(笑)。

小倉:今は山村(隆太/flumpoolのヴォーカル)が休んでいる分、他のメンバー3人で頑張らないといけない状況だ、ということをしっかりと考えつつも、やっぱり人間、頑張った分のご褒美も欲しいじゃないですか? 「今週これだけ頑張ったから、欲しかったものを買おう」とか。そのご褒美が、僕の中ではFF14だ、という面もあります。

誠司さんであれば、TERUさんとリアルな世界で食事に行って話すこともできますよね? そうではなく、ゲームの中でわざわざ会う場合は、リアルで会う時と話す内容が違ったりするんですか?

TERU:どうなんだろう? でも、ゲームだと意外と真面目な話が多いかもね。

小倉:うん、多いですね。

TERU:普通にご飯に行って話す時は、他に人も同席したりするし、音楽の話には全くならないけど、ゲームの世界だと、その部屋の中で顔を合わせて話しているような感覚になるので、相談ごとをしたりすることが多いかもしれない。

雑談というより、本質的な深いお話になる、と。

TERU:うん、雑談はないかもしれないね、逆に。FCの子たちと話す時は、「おはよう」「行ってきます」みたいな挨拶や雑談はあるけども。こうやって普段から一緒にご飯に行くような身近な仲間に関しては、ゲームの世界に入ると、「マイディーさん、ちょっと相談あるんですけど…」みたいな感じになるかも。でも、同じグングニルにはいても、最近はほとんど知り合いと会わなくなったね。最初の頃は「ちょっとID付き合ってください」とかお願いすることもあったし、「集まって何かしよう」というのがあったんですけど。

マイディー:お互いにゲーム内での人間関係ができてきたからじゃないですか?

TERU:そうそう、そっちのほうが忙しくなって(笑)。でも、GLAYのライヴの打ち上げで皆で話していたら、「零式やろうよ」という話になって、吉田Pも参加したいと言っていたので、また集まれるかもしれない。そういう楽しみもありますね。

南條:ゲームの中で人に会う時、お部屋に招かれて話す場合、私、緊張するんですよ。お部屋に向かう間の緊張感とか、「どこから話そう?」と考えたりするのは、リアルとも結構、繋がるところがあって。

TERU:あ、そうなんですか? すごい話ですね(笑)。

小倉:でもたしかに、そういう感覚はあるかも。

南條:お部屋に案内されて、ガチャッとドアを開けてもらって「どうぞ」「じゃあ、失礼しまーす」とか言いながら、その人がつくったソファに座って。「で、どうしたの?」「いやぁ、実は…」みたいな。そこは、リアルの場合の切り出し方と私はすごくリンクする部分があって。ご飯屋さんで実際リアルで会っていたとしても、やっぱり周りにガヤガヤと人がいると、込み入った話をしても「どこかで聞かれてるかな?」と気になりますし。ゲームの中では、更にもっと深いところまで話せることもあるなぁと思ったり。さっきも話していたように、FF14の世界はヴィジュアルも本当にリアルなので、釣りをしながら「何か釣れた?」とか言いつつだんだん深い話になっていって、釣り竿が止まったりとか。

TERU:景色がリアルなんだよね。

小倉:うん、そうですね。

TERU:前にマイディーさんに、風脈という…開けると飛べるようになるところがあるんだけども、まだ僕が全然飛べない時に、二人乗りのマウントに乗せてもらって、すごく景色のいい場所に連れていってもらったことがあったんです。そこで夕日を見ながら語り合った時は、もう、感動して泣きそうになっちゃって(笑)。「なんで俺こんなに感動してるんだ?」と思いながら(笑)。その時の記念写真は、今TwitterのTOP画像に貼っているんですけど。

青春ですね。

TERU:本当にね。46歳にしてそんな青春を味わえるとは思わなかった(笑)。

小倉:(笑)。

マイディー:これって、思い出の話じゃないですか? 一人でやるゲームだと、コンピューターと自分だけなので、自分の中の思い出でしかないんですけど、オンラインゲームは「夕日を見たよね」と言い合って共有できる思い出ができていく。そこにすごい魅力がありますよね。

南條:うん、うん。「本物だな」っていうね。

TERU:ついうっかり、現実と勘違いしてる時もありますよ。画面がこう、目の前にあって…(※と、ジェスチャーで画面サイズを表現)。

南條:デカいですね、画面!(笑)。

一同:(笑)。

TERU:いやいや(笑)。もう、ヴァーチャル・リアリティーだよね。

南條:それに、なかなか気軽に海とか山とか、行けないじゃないですか?

小倉:たしかに。

南條:忙しかったりとかすると、昼間とか、特に。

TERU:潮の香がしそうだもんね。

南條:そうなんですよ! 森もすごく綺麗で、「チュンチュン」とか、聞こえてくるんです。風がそよいで樹がサワサワとなる音とか…癒されますもん。「森に来たなぁ」みたいな気持ちになります(笑)。

皆さんは表現者でいらっしゃるので、一層イメージ豊かに五感で受け止めていらっしゃるのでは…?

TERU:でも、本当にリアルなんですよ。焚き火なんて、パチパチッという音が聞こえるし。

南條:どっちが本体か、だんだん分からなくなっちゃう(笑)。

マイディー:あはは!

リアルとゲームと、2つの人生を生きているような感覚なんですね。

TERU:そうですね。うちのFCは特別で、やっぱりGLAYファンが多いじゃないですか?「GLAYからパワーをもらってる」「音楽からパワーをもらってる」という子たちが多いので、俺がインしている時、ちょっとつらいことがあった子が「マスター、ハグしてください!」と言ってくるんです。僕は「よし、ハグしてやろう!」って、ハグボタンをポッ!と押す(笑)。

南條:それはうれしいでしょうね(笑)。

TERU:「ありがとうございます!」って言われるけど、ボタン一つでできるんだもん。こう言ったら冷めちゃうかもしれないけど…(笑)。

実際にTERUさんがファンの方をハグなさったら、大事件になってしまいますもんね。

TERU:うん、できないですからね。今ララフェルだから、「膝の上に乗ってください」と言われることもあるんですけど、乗ってあげると「癒されました! ありがとうございます」と感謝されますし。ボタン一つでできるので、そこは割り切って(笑)。でも、やっぱり緊張する時もありますよ。その向こうに女性がいると考えた時、いくらムッキーちゃんが女性キャラだとしても、ちょっと抵抗ある、というか。

南條:なかなかハグとか、できないんですよ、私は。

マイディー:南條さんは、しない派ですよね。

南條:しない派ですねぇ。ゲームの中で撫でられたりしても、人によってはハグで返す人もいるんでしょうけど、私は「呆然とした顔をした」「照れてみせた」みたいなリアクションになります(笑)。それは感情移入しているからなのか…。

TERU:なるほど、そうなんだね。僕の場合は“かわいい子と旅をしてる”設定だから、自分自身とはちょっと切り離されているのかもしれない。アイドルとして育ててるからね。

南條:そうですよね、ムッキーちゃんは完璧なアイドルですよ! TERUさんのお話を聞いていると、今はFCの中はファンの方が多いと思うんですけど、リーダーとして本当に紳士的だし真っ直ぐなので、その人柄に惚れてFCに入りたいな、という気持ちを抱く人がすごく増えそう。

TERU:元々は「GLAYは聴いたことない」という人たちで、今はGLAYのライヴも一緒に来たりするFCのメンバーもいますよ。そういうフィードバックが面白くてね。GLAYのライヴに来てお互いに初めて会って、とあるデッカい人間のキャラクターの子がいるんですけど、「リアルで会ったら小さかったです」と、皆が密かに驚いてたり(笑)。「小さいのか、お前」「すいませんね!」とか言って。

南條:かわいいなぁ。

小倉:あはは!

マイディー:そりゃ、生まれ変われるなら理想の形でつくりますよね(笑)。

TERU:そうやって皆それぞれ自分の立ち位置で、強制されない遊び方ができるのがいいですね。ルールはいっぱいあるんですけど、自分でキャラクターを選べるし、自分なりのプレイスタイルで遊べるし。南條さんみたいに名前を伏せて楽しむ人もいれば、誠司みたいに公表して楽しめる人もいて、その人の性格に合せて楽しめるのがFF14の面白さかな?と思うので。「入りたいけど、入れない」という人は、お試し期間もあったりするので、やってみたら本当に楽しいと思うんだけど、いかんせんサーバーが…今は定員一杯で入れない、というね。いろんなサーバーの子たちからの、「ムッキーちゃん、こっちのサーバーにも来てください」という要望もあるので、GLAYのツアーが終わって落ち着いたら、もう少し手を広げてみたいな。グングニルは一回出てしまうともう戻ってこられないので固定しつつ、新しくキャラクターをつくってやってみようかな?と思ってます。

マイディー:支店をつくるようにね。

南條:1号店、2号店と。

TERU:そうですね!



では最後に、本日の座談会の感想をお願いします。

南條:ただ好きでFF14をやり始めたのが、14のキャラクターも演じさせてもらい、ラジオも始まり…なんて、いろいろあったんですけど、まさかGLAYのTERUさんと対談をする日が来るなんて(笑)。全く想像もついていませんでした。どこで何があるか分からないですよね。実は、誠司さんの結婚式の時、TERUさんがその場にいらっしゃって、お会いしてはいたんですけど、その時はまだ誠司さんもTERUさんもFF14を始められてなかったんです。それが気付けば今は皆“光の戦士”になってしまって(笑)。面白いなぁ、と思います。

TERU:不思議なご縁ですよね。

南條:はい。いろいろと音楽業界のお話を聞いたりして、私も勉強になることがありましたし。ゲームとしてももちろん楽しんでいるんですけど、そこから広がっていく人間の輪も、私にとってはすごく「やっていてよかったな」「14に出会えてよかったな」と感じることなので、これからもヒッソリとやっていきたいなと思います(笑)。

TERU:面白いので是非一緒に零式をやりましょう!

小倉:僕は実は、昨日の今日で、この座談会にお声掛けをいただいて…(笑)。

TERU:「どうせ暇なんだろう? 来いよ!」と、GLAYのライヴの打ち上げで誘ったんだよね(笑)。

小倉:(笑)。でも、そういうふうに言っていただけるような、TERUさんとのありがたい関係も、僕にはすごく大事だし、これからも大事にしたいな、と思っているんです。FFをやっている中で、僕がやりたいことはもう既にTERUさんがやっていらっしゃって、いろいろな垣根をもう超えちゃっているんですよね。FFの中でGLAYの曲を流していいよ、という音楽権利の話もそうで、僕らからすると考えられなかった、というか。その発想すら全然ありませんでしたから。僕なりの新しいこともしたいなとは思いつつ、やっぱりTERUさんのやられていることを、今のFCのファンの子たちと僕もやりたいな、と思っています。僕らflumpoolもFFの中で何か音楽的なことをもっとやれたらいいな、とも僕としては思いますし。ファンの子と僕らの曲を演奏したり…そういうことも楽しめたらなぁ、と。本当にうれしいのが、僕のSNSとかを見て、「プレイステーションを買いました」「ゲームを買いました」という方がいること。僕の言葉にそんな影響力があるんだ!と感じましたし、そういう方たちをもっともっと大事にして、一緒に遊んでいけたらな、と思っていて。そして、GLAYさんを知って僕らを知ってくれた、という方も本当にたくさんいるので、そういう方たちにも何か還元できたらな、と思っています。

Twitter上でTERUさんと誠司さんは「共同イベントをしよう」というやり取りをされていましたよね。

TERU:やりますよ、たぶん。

小倉:よろしくお願いします!

マイディー:僕はこのゲームが始まった日からずっとあの世界にいまして、ずっとその歴史を見てきているんですけども、2017年はすごく面白い方向に広がりを見せてくれたな、と思う激動の年なんですよね。実際、GLAYのTERUさん、flumpoolの誠司さん、南條愛乃さんがこうして集まって対談する、FF14の話をするこの状況が来た、というのが、長くこの世界に住んでいる者として、「あぁ、素晴らしい。良かった!」と、率直に思いますよね。

南條:面白いですよね!

マイディー:それはうれしいことですしね。僕自身は元々、声優でもアーティストでもなく、普通のブログ(『一撃確殺SS日記』)を書いている一般市民で。でも、こういう繋がりが出来ていくんだな、ということは皆に知ってほしいと思います。シンデレラ(ストーリー)じゃないですけども、努力さえしていればいろんな人と繋がっていって、その出会いがひょっとしたら声優さんかもしれないし、アーティストの方かもしれないし、宮大工の職人さんかもしれないし。いろんな可能性がゲームの世界の中にあって、それはリアルにも影響を及ぼすし、自分の人生自体を大きく変えてくれるものであるということを、少しでも多くの人に知ってほしいな、と思います。今、僕は幸せですからね。

南條:マイディーさんのブログ、何年書かれているんでしたっけ? 

マイディー:8年です。

TERU小倉:8年!

南條:8年ですよ、毎日欠かさず! しかも読み物としても面白いものを書かれていて。すごいことだと思います。

小倉:面白いですよねぇ。

TERU:すごいですよね。スクショを撮る時に、一回マイディーさんのスクショのページに戻りますもん。それを見て「あぁ、そういうふうにやればいいんだ」って。参考書みたいに見させてもらっています。

では、TERUさん締めに一言、お願いいたします。

TERU:FF14の中で”流行語大賞“があって、僕の「ギル(※FF14での通貨単位)はないけど金はある」という言葉がノミネートされてるんですよ。大賞を獲れたら獲りたいな、と(笑)。

小倉:僕、「ボタン一つで」というのも、入りそうな気がするんですけどね(笑)。

南條:「ボタン一つでハグ」みたいな感じで(笑)。

TERU:あはは! そんなことも含め、いろんな広がりが今見えて来たな、と思うし。元々僕もゲームが大好きでやっている人だからこそ、FF14の中で「垣根を超えたい」と思ったのは、ちょっと陰湿な部分が多いな、と感じたからでもあるんですよね。MMOの世界の裏には、そういう影があるんだな、と。そこを改善できればいいのに、というのも一つテーマとしてあります。それができればたぶん、南條さんも普通にオープンにしても楽しめるような世界になっていくんだろうし。ゲームの中で普通にフレンドとして楽しんでいる人が、ひょっとしたら芸能人かもしれない、という世界ではあると思うので、職業とか立場、生まれ育ち、そういう部分があまり影響しない世界を今後FF14の中でつくっていけたらな、と。それに対して少しでも貢献出来ればいいな、と思っています。まだまだ切り拓ける場所はたくさんあるので、切り拓いていきたいですね。

南條:さすが、タンクさんですね!