Vol.46 TAKURO WEBインタビュー
Vol.46 TAKURO WEBインタビュー
TAKURO最新インタビュー!2014年を振り返って一番印象に残ったことを始め、「GLAY EXPO 2014」や現在実施中のアリーナツアー、そして5月のドーム公演までTAKUROの生の声をお届けします。
――" 『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』を筆頭に、20周年イヤーらしい活動が目覚ましい2014年でした。振り返られて、一番印象に残っているのはいつ頃・どんなことでしょうか?
TAKURO:
やっぱり、『GLAY EXPOプレスカンファレンス』(※1)かな。あのタイミングで、EXPOの場所・日取り・詳細をちゃんと伝えることができて。2012年の開催発表以降、様々な交渉や準備があって、ようやく漕ぎ着けたという意味において、3月が一番印象深いですね。「20周年は東北に捧げます」と俺はあの場で言ったけれども、いろんな想いを簡潔に言語化できたこともよかったと思う。それが「しっかりとやっていくんだ」という自分の支えであり、テーマにもなったしね。そこからは、東北六魂祭(※2)を含め、東北六県ツアー(※3)も、GLAY EXPO本番も、決めたことをしっかりと具体化して行くだけだったから。"魂"の部分を3月に皆に伝えられた、というのが一番印象深いな。
※1:GLAY EXPOプレスカンファレンス
3月25日、六本木ニコファーレで開催された記者発表。GLAY EXPOの詳細がメンバーの口から直接語られた。その模様はWEBで全世界に生中継された。
※2:東北六魂祭
東北6県の各県庁所在地の代表的な6つの夏祭りを一同に集めた祭り。東日本大震災の鎮魂と復興を願って、2011年7月に宮城県仙台市で初開催された。今年は山形県山形市で第4回を開催、GLAYはイベントの一つ「六魂Fes!」に参加、また青森出身のHISASHIは東北出身のアーティストのみが参加できる六魂バンドのメンバーとして単独でも出演を果たした。
東北六魂祭公式サイトはこちら
※3:東北六県ツアー
2014年8月18日(月)からスタートした『GLAY LIVE TOUR 2014 TOHOKU』。各会場ごとに異なるツアータイトルで行われた(タイトルは青森を除き、GLAY EXPO 2014テーマソング『BLEEZE』の歌詞に由来している)。
スケジュールはこちら
最終日の宮城県・名取市文化会館公演は、2月14日発売のBlu-ray Box「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary Premium Box」に全編収録されている。
「GLAY EXPO 2014 TOHOKUの」DVD & Blu-rayは、上記を含め全5アイテム発売。詳細はこちら
――プレスカンファレンスでは、最後の最後に付け加えるような形で、お1人だけ立ち上がってお話しされていましたよね。ああいった形で宣誓するというのも、事前に決めていらっしゃったのですか?
TAKURO:ある程度はね。前の日に原稿を書いたかどうか、記憶が定かじゃないけれど、頭の中でいくつかの"伝えなければいけないポイント"はまとめていたよね。自分たちのCDが出ます、とかいう通常のインタビューとはやっぱり、わけが違うので。
――"東北に"捧げる"というワードが胸に響きましたが、それは予め心にあったのでしょうか?
TAKURO:いや、あれはその場で浮かんだんじゃないかな? 復興を推進し、風化を防げ、鎮魂を願うという、東北六魂祭の掲げるテーマがあって。それをGLAY EXPOでもやりたかったからちゃんと言いたかったのに、俺、そのうちの1つが咄嗟に出なかったんだよ。それが今でも悔やまれますが……代わりと言ってはなんだけど、それを全部ひっくるめて、「GLAYの20周年は東北と共にあります」という言葉が出たから、ちゃんと伝わったかな?とは思うんだけど。TAKUROクラスになっても、頭が真っ白になることはあるんですよ、と(笑)。
――(笑)。そんな中、TOSHI NAGAIさん(※4)の活動30周年を記念した『TOSHI祭り!BUZZ☆DRUM~30th Anniversary&Birthday~Produced by GLAY』(※5)も開催。GLAYとしてイベントをプロデュース、という新しい試みもなさいました。
TAKURO:あのイベントのプロデュースは、「今日の食事はどこに食いに行く?」「今日は映画、何観ようかな?」を決めるぐらい、俺にとってはなんてことないことでした(笑)。
親しい友人の特別な日こそ普段の感謝を込めて「TOSHIの30周年、プロデュースしよっかな?」と。すべて日々同じ線上でございます! まあ、"ちょっと派手な誕生会"ってね(笑)。
※4:TOSHI NAGAI
ドラマーの永井利光氏。1995年以来GLAYのサポートドラマーを務める。2014年がプロ生活30周年。
※5:『TOSHI祭り!BUZZ☆DRUM~30th Anniversary&Birthday~Produced by GLAY』
2014年6月8日、渋谷公会堂で開催されたTOSHIの音楽生活30周年を祝うイベント。GLAYを始め、渡瀬マキさん、清木場俊介さんなどが参加。イベントロゴはTEREが制作した。
開催にあたって特設サイトでは、TAKUROとTOSHIの対談も行われた。
[TOSHI祭り!BUZZ☆DRUM]特設サイト
――8月18日からは、ホールツアー『GLAY LIVE TOUR 2014 TOHOKU』で東北六県を巡られました。得るものがたくさんあったのでしょうね?
TAKURO:あったね。ちょっと映画的な言い方をすると、あそこだけ無音、という感じがするんだよね。その前後には壮大な音楽がガンガン流れている中で、ライヴの後の移動、移動、移動……の時間が、ものすごい無音に感じられて。まだまだ復興されていない街と青空とのコントラストが非常に焼き付いている、というか。もちろん、ステージに上がってしまえば、GLAYの音楽で何かしら力になりたい、という想い自体は他の街でライヴする時と何も変わらないんだよ。それでも、移動の時はやっぱり…………自分の心が、目の前にある現実をどう捉えるのか?というね。本当に、まるで映画を観てるかのような……だけど、実際に行って目の当たりにしているわけだから、もちろん現実なんだ、という感覚もあり。もし未だ行っていない人がいるのであれば1回現地に行って、見て、何か感じて欲しいし。見たことのある人だったらたぶん、俺の言っていることを分かってくれるんじゃないかな。
――非常に深い心の体験をされたのですね。
TAKURO:そう。この穏やかな海が、なぜあそこまでの津波に……? ということが、もう、自分の知識や経験の中には納まりきらないもんね。それはそれとして受け入れるしかないんだ、と思った。「何故? 何故?」ではない気持ちだったな。
――そういったご経験は、GLAY EXPOの本番でステージに立つ時の心のありようにも影響しましたか?
TAKURO:うーん……いつも思うんだけど、ライヴ自体はもう、どう転がるか分からないから、ただただ最善の準備をしてステージに立つだけ。何もできないよね。思った通りにはやっぱり行かないもん。「今日はこんな話をしよう」と思っていても、その前に他のメンバーがその話をしてしまったら、変えなきゃいけないし。でも、例えば、「被災地に何度も足を運んだので、全く知らないわけじゃない」「だけど、本当の悲しみは分からない」とか、そういったある種の線引きはできたよね。例えば「釜石には行ったけど、〇〇には行っていないから何も知らない」という自覚を持って話さないと失礼になる、とか。自分たちができることを叫ぶにしても、"本当にできること"しか言いたくない、とか。約束するんだったら、少なくともスケジュールも予算面も裏付けがあることで未来を語ろう、とか。そういう、普通のライヴにはないようなことをやっぱり思いながら、ステージに立ってはいたかな。「君にあえたら」を披露するにあたり、かなりストレートな曲だから、その後に起こるであろう様々な反応を受けて、しっかりと責任を取れるだけの器が自分たちにあるか? バックアップできる姿勢が会社にあるか? というのも全部精査して。それができること、"準備"だよね。あとはもう、どうなるか分からない。
――今回のGLAY EXPOはプロデューサーが外部から加わり、演出を手掛けられたのも新たな挑戦でした。初めてならではの大変さもあったでしょうね。
TAKURO:やったことのないことをやるのは、もちろん大変だよ。"成功させる"という1点のみにおいては皆同じ気持ちだけど、今まで乗って来た乗り物も違えば、見て来た風景も違うから、その摺合せは大変だったね。それ以外にも、EXPO恒例の大変なことがたくさんあって、それをまずは片付けて行ったんだけど、今の自分たちの年齢的な成熟度から、許せること・許せないことが出て来るんだよね。昔だったら笑い飛ばしていたけど、逆に「そこは今、見逃しちゃダメでしょ!」ということもあるし。時代時代の、2014年なりの切り口もあるだろうし。「こんなにやることあんのか、EXPOは!」っていうのは、今回もあったけどね(笑)。
――でも、大成功でしたよね。
TAKURO:もう大成功でしたよ。これはあらゆることに言えるけど、自分たちが"次に繋がる一歩だ"と思えば、それは大成功だよね。1人でも2人でも、「よし、明日からも頑張ろう! 被災された方のために何かやれること探すぞ」となったら、それを成功と呼ばないで何を呼ぶ?という話だよ。俺たちは、あくまでもきっかけづくりにしか過ぎないけれども。5万5千人が全員、生活をすべて東日本に向けなかったら失敗ってことでもないだろうから。そういう意味で、理想と現実との間ですごくつらそうにしている人が多いよね。"成功"って何だろうね? 周りを見ていると、「あなたの幸せは何ですか?」ということを今一度考え直すにはいい時期かもしれないな、と思うよ。
――11月5日にリリースされた13thオリジナル・アルバム『MUSIC LIFE』を引っ提げたアリーナツアー『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』(※9)が絶賛続行中です。現段階での手応えはいかがでしょうか?(※取材は1月下旬)
TAKURO:EXPOの反動ではないけれど、あらゆることに制約がなくて、あらゆるところに楽しみが落ちている、というか。EXPOが、メッセンジャーとしてのロックミュージックの在り方だとしたら、『~Miracle Music Hunt』は、「楽しければいいんじゃない?」というもの。一貫したテーマや伏線がある、とかではなくてね。俺は昔から「3分間のパーティーソングでいいじゃない?」と言ってきたけれど、ロックはその一方で現実をも教えてくれる……要するに、リアリティーとファンタジーの両方があるわけじゃない? EXPOがリアリティーの賜物だとしたら、今回のツアーはファンタジーの賜物。夢の断片の詰め合わせ、みたいなものだね。
※9:『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』
2月22日宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで終了
詳しくはコチラ
宮城公演は会場までのシャトルバス及び会場駐車場駐車券も販売中
13thアルバム「MUSIC LIFE」
好評発売中
詳しくはコチラ
――ひたすらワクワクするステージングですよね
TAKURO:そう、ワクワクするだけでいいじゃない?というね。それを世の中的には"高い目標・低い目標"のように呼ぶのだろうけど、俺の中では同じ力量・質量だな。だから、EXPOとなんら変わらないよ?
――EXPOが崇高でこちらがどう、ではなく、等価なのですね?
TAKURO:そう。計りに掛けたら均等なものだよ。
――ツアーで披露されている「つづれ織り~so far and yet so close~」が、10年の時を経て、有線リクエストランキング1位を獲得する、というおめでたいニュースもありました。
TAKURO:あの曲は、発売当時も「なぜシングルカットしなかったんだろう?」と思っていたので、こういう形でまた聴かれるのはうれしいよね。当時つくった経緯を思い出そうとしても、正直言って、何も言えないんだよ。ただ「いい曲をつくろう」と思っただけだし、その時の気持ちを素直に表そうと思っただけだから。でも、これは「つづれ織り~」(※10)に限らない話だけど、曲が持つ説得力という意味では、今のほうがあるかもしれないね。
※10:「つづれ織り~so far and yet so close~」
2005年1月19日発売『Ballad Best Singles WHITE ROAD』が初出。
最新アルバム『MUSIC LIFE』発売にあたり募集した「GLAYを初めて聴く人にオススメしたいバラード」第1位に輝いた。同アルバムの【2CD豪華盤 BALLADE BEST☆MELODIES】に収録されている。
――そして、10年ぶりの東京ドーム公演が5月30日・31日に開催されますね。おめでとうございます!
TAKURO:いやあ、東京ドームって予約取るの大変なんだね! ライヴをしたいというミュージシャンの誰に訊いても、申し込んでもなかなか日にちが決まらない、という話を聞くから(笑)。
――どんなライヴになりそうでしょうか?
TAKURO:タイトルが『20th Anniversary Final GLAY in TOKYO DOME 2015 Miracle Music Hunt Forever』ですから、もうこれだけで、俺たちがどれだけ今のアリーナツアー(『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』)を好きで、楽しんでいるかを分かってもらえると思います。EXPOは、自分たちの魂の部分の象徴だったわけだよね。音楽的に云々というよりは、GLAYのバンドとしての姿勢の根本というか、「こういうことがしたいから、俺たちはEXPOをやるんだ」というものだった。そして、音楽的な楽しさの象徴は『Miracle Music Hunt』なわけで。曲に合った映像をつくり、もっと笑顔を引っ張り出せるように、と考えてね。昨日そういえば誰かに褒められたな。「FAME IS DEAD」(※10)の俺の悪徳プロモーターの役作りが完璧すぎて「憎たらしい!」って(笑)。とにかく、EXPOで宣言したような、自分たちの魂の部分はもう理解してもらえている、という自負もあるので、東京ドームでは、GLAYの"バンドとしての面白さ"、振り幅の広さ、GLAYがGLAYであることの存在理由みたいなことを示したい。あとは、20周年イヤーを締め括るファイナルとして、"お疲れ会"みたいな感じで全部出し切りたいよね。
初日は、TERUが「10年後に取りに来る」と誓ったあの白いジャケットがどうなることか…(笑)。倉庫で黄ばんでいるんだろうね(笑)。
※11:「FAME IS DEAD」
2009年10月21日発売『THE GREAT VACATION VOL.2 ~SUPER BEST OF GLAY~』収録。
MUSIC VIDEOはこちらから
最近のライブではTAKUROの荒々しいコーラスと激しいアクションに注目が集まる曲。アリーナクラスの会場では凝りに凝った映像が制作される。インタビュー中の「悪徳プロモーターの役作り」もその映像中のシーン。
20th Anniversary FINAL GLAY in TOKYO DOME
Miracle Music Hunt Forever
詳しくはコチラ
2月18日(水)23:00までローソンチケット最速先行実施中
TAKURO最新インタビュー!2014年を振り返って一番印象に残ったことを始め、「GLAY EXPO 2014」や現在実施中のアリーナツアー、そして5月のドーム公演までTAKUROの生の声をお届けします。
――" 『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』を筆頭に、20周年イヤーらしい活動が目覚ましい2014年でした。振り返られて、一番印象に残っているのはいつ頃・どんなことでしょうか?
TAKURO:
やっぱり、『GLAY EXPOプレスカンファレンス』(※1)かな。あのタイミングで、EXPOの場所・日取り・詳細をちゃんと伝えることができて。2012年の開催発表以降、様々な交渉や準備があって、ようやく漕ぎ着けたという意味において、3月が一番印象深いですね。「20周年は東北に捧げます」と俺はあの場で言ったけれども、いろんな想いを簡潔に言語化できたこともよかったと思う。それが「しっかりとやっていくんだ」という自分の支えであり、テーマにもなったしね。そこからは、東北六魂祭(※2)を含め、東北六県ツアー(※3)も、GLAY EXPO本番も、決めたことをしっかりと具体化して行くだけだったから。"魂"の部分を3月に皆に伝えられた、というのが一番印象深いな。
※1:GLAY EXPOプレスカンファレンス
3月25日、六本木ニコファーレで開催された記者発表。GLAY EXPOの詳細がメンバーの口から直接語られた。その模様はWEBで全世界に生中継された。
※2:東北六魂祭
東北6県の各県庁所在地の代表的な6つの夏祭りを一同に集めた祭り。東日本大震災の鎮魂と復興を願って、2011年7月に宮城県仙台市で初開催された。今年は山形県山形市で第4回を開催、GLAYはイベントの一つ「六魂Fes!」に参加、また青森出身のHISASHIは東北出身のアーティストのみが参加できる六魂バンドのメンバーとして単独でも出演を果たした。
東北六魂祭公式サイトはこちら
※3:東北六県ツアー
2014年8月18日(月)からスタートした『GLAY LIVE TOUR 2014 TOHOKU』。各会場ごとに異なるツアータイトルで行われた(タイトルは青森を除き、GLAY EXPO 2014テーマソング『BLEEZE』の歌詞に由来している)。
スケジュールはこちら
最終日の宮城県・名取市文化会館公演は、2月14日発売のBlu-ray Box「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary Premium Box」に全編収録されている。
「GLAY EXPO 2014 TOHOKUの」DVD & Blu-rayは、上記を含め全5アイテム発売。詳細はこちら
――プレスカンファレンスでは、最後の最後に付け加えるような形で、お1人だけ立ち上がってお話しされていましたよね。ああいった形で宣誓するというのも、事前に決めていらっしゃったのですか?
TAKURO:ある程度はね。前の日に原稿を書いたかどうか、記憶が定かじゃないけれど、頭の中でいくつかの"伝えなければいけないポイント"はまとめていたよね。自分たちのCDが出ます、とかいう通常のインタビューとはやっぱり、わけが違うので。
――"東北に"捧げる"というワードが胸に響きましたが、それは予め心にあったのでしょうか?
TAKURO:いや、あれはその場で浮かんだんじゃないかな? 復興を推進し、風化を防げ、鎮魂を願うという、東北六魂祭の掲げるテーマがあって。それをGLAY EXPOでもやりたかったからちゃんと言いたかったのに、俺、そのうちの1つが咄嗟に出なかったんだよ。それが今でも悔やまれますが……代わりと言ってはなんだけど、それを全部ひっくるめて、「GLAYの20周年は東北と共にあります」という言葉が出たから、ちゃんと伝わったかな?とは思うんだけど。TAKUROクラスになっても、頭が真っ白になることはあるんですよ、と(笑)。
――(笑)。そんな中、TOSHI NAGAIさん(※4)の活動30周年を記念した『TOSHI祭り!BUZZ☆DRUM~30th Anniversary&Birthday~Produced by GLAY』(※5)も開催。GLAYとしてイベントをプロデュース、という新しい試みもなさいました。
TAKURO:あのイベントのプロデュースは、「今日の食事はどこに食いに行く?」「今日は映画、何観ようかな?」を決めるぐらい、俺にとってはなんてことないことでした(笑)。
親しい友人の特別な日こそ普段の感謝を込めて「TOSHIの30周年、プロデュースしよっかな?」と。すべて日々同じ線上でございます! まあ、"ちょっと派手な誕生会"ってね(笑)。
※4:TOSHI NAGAI
ドラマーの永井利光氏。1995年以来GLAYのサポートドラマーを務める。2014年がプロ生活30周年。
※5:『TOSHI祭り!BUZZ☆DRUM~30th Anniversary&Birthday~Produced by GLAY』
2014年6月8日、渋谷公会堂で開催されたTOSHIの音楽生活30周年を祝うイベント。GLAYを始め、渡瀬マキさん、清木場俊介さんなどが参加。イベントロゴはTEREが制作した。
開催にあたって特設サイトでは、TAKUROとTOSHIの対談も行われた。
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――8月18日からは、ホールツアー『GLAY LIVE TOUR 2014 TOHOKU』で東北六県を巡られました。得るものがたくさんあったのでしょうね?
TAKURO:あったね。ちょっと映画的な言い方をすると、あそこだけ無音、という感じがするんだよね。その前後には壮大な音楽がガンガン流れている中で、ライヴの後の移動、移動、移動……の時間が、ものすごい無音に感じられて。まだまだ復興されていない街と青空とのコントラストが非常に焼き付いている、というか。もちろん、ステージに上がってしまえば、GLAYの音楽で何かしら力になりたい、という想い自体は他の街でライヴする時と何も変わらないんだよ。それでも、移動の時はやっぱり…………自分の心が、目の前にある現実をどう捉えるのか?というね。本当に、まるで映画を観てるかのような……だけど、実際に行って目の当たりにしているわけだから、もちろん現実なんだ、という感覚もあり。もし未だ行っていない人がいるのであれば1回現地に行って、見て、何か感じて欲しいし。見たことのある人だったらたぶん、俺の言っていることを分かってくれるんじゃないかな。
――非常に深い心の体験をされたのですね。
TAKURO:そう。この穏やかな海が、なぜあそこまでの津波に……? ということが、もう、自分の知識や経験の中には納まりきらないもんね。それはそれとして受け入れるしかないんだ、と思った。「何故? 何故?」ではない気持ちだったな。
――そういったご経験は、GLAY EXPOの本番でステージに立つ時の心のありようにも影響しましたか?
TAKURO:うーん……いつも思うんだけど、ライヴ自体はもう、どう転がるか分からないから、ただただ最善の準備をしてステージに立つだけ。何もできないよね。思った通りにはやっぱり行かないもん。「今日はこんな話をしよう」と思っていても、その前に他のメンバーがその話をしてしまったら、変えなきゃいけないし。でも、例えば、「被災地に何度も足を運んだので、全く知らないわけじゃない」「だけど、本当の悲しみは分からない」とか、そういったある種の線引きはできたよね。例えば「釜石には行ったけど、〇〇には行っていないから何も知らない」という自覚を持って話さないと失礼になる、とか。自分たちができることを叫ぶにしても、"本当にできること"しか言いたくない、とか。約束するんだったら、少なくともスケジュールも予算面も裏付けがあることで未来を語ろう、とか。そういう、普通のライヴにはないようなことをやっぱり思いながら、ステージに立ってはいたかな。「君にあえたら」を披露するにあたり、かなりストレートな曲だから、その後に起こるであろう様々な反応を受けて、しっかりと責任を取れるだけの器が自分たちにあるか? バックアップできる姿勢が会社にあるか? というのも全部精査して。それができること、"準備"だよね。あとはもう、どうなるか分からない。
――今回のGLAY EXPOはプロデューサーが外部から加わり、演出を手掛けられたのも新たな挑戦でした。初めてならではの大変さもあったでしょうね。
TAKURO:やったことのないことをやるのは、もちろん大変だよ。"成功させる"という1点のみにおいては皆同じ気持ちだけど、今まで乗って来た乗り物も違えば、見て来た風景も違うから、その摺合せは大変だったね。それ以外にも、EXPO恒例の大変なことがたくさんあって、それをまずは片付けて行ったんだけど、今の自分たちの年齢的な成熟度から、許せること・許せないことが出て来るんだよね。昔だったら笑い飛ばしていたけど、逆に「そこは今、見逃しちゃダメでしょ!」ということもあるし。時代時代の、2014年なりの切り口もあるだろうし。「こんなにやることあんのか、EXPOは!」っていうのは、今回もあったけどね(笑)。
――でも、大成功でしたよね。
TAKURO:もう大成功でしたよ。これはあらゆることに言えるけど、自分たちが"次に繋がる一歩だ"と思えば、それは大成功だよね。1人でも2人でも、「よし、明日からも頑張ろう! 被災された方のために何かやれること探すぞ」となったら、それを成功と呼ばないで何を呼ぶ?という話だよ。俺たちは、あくまでもきっかけづくりにしか過ぎないけれども。5万5千人が全員、生活をすべて東日本に向けなかったら失敗ってことでもないだろうから。そういう意味で、理想と現実との間ですごくつらそうにしている人が多いよね。"成功"って何だろうね? 周りを見ていると、「あなたの幸せは何ですか?」ということを今一度考え直すにはいい時期かもしれないな、と思うよ。
――11月5日にリリースされた13thオリジナル・アルバム『MUSIC LIFE』を引っ提げたアリーナツアー『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』(※9)が絶賛続行中です。現段階での手応えはいかがでしょうか?(※取材は1月下旬)
TAKURO:EXPOの反動ではないけれど、あらゆることに制約がなくて、あらゆるところに楽しみが落ちている、というか。EXPOが、メッセンジャーとしてのロックミュージックの在り方だとしたら、『~Miracle Music Hunt』は、「楽しければいいんじゃない?」というもの。一貫したテーマや伏線がある、とかではなくてね。俺は昔から「3分間のパーティーソングでいいじゃない?」と言ってきたけれど、ロックはその一方で現実をも教えてくれる……要するに、リアリティーとファンタジーの両方があるわけじゃない? EXPOがリアリティーの賜物だとしたら、今回のツアーはファンタジーの賜物。夢の断片の詰め合わせ、みたいなものだね。
※9:『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』
2月22日宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで終了
詳しくはコチラ
宮城公演は会場までのシャトルバス及び会場駐車場駐車券も販売中
13thアルバム「MUSIC LIFE」
好評発売中
詳しくはコチラ
――ひたすらワクワクするステージングですよね
TAKURO:そう、ワクワクするだけでいいじゃない?というね。それを世の中的には"高い目標・低い目標"のように呼ぶのだろうけど、俺の中では同じ力量・質量だな。だから、EXPOとなんら変わらないよ?
――EXPOが崇高でこちらがどう、ではなく、等価なのですね?
TAKURO:そう。計りに掛けたら均等なものだよ。
――ツアーで披露されている「つづれ織り~so far and yet so close~」が、10年の時を経て、有線リクエストランキング1位を獲得する、というおめでたいニュースもありました。
TAKURO:あの曲は、発売当時も「なぜシングルカットしなかったんだろう?」と思っていたので、こういう形でまた聴かれるのはうれしいよね。当時つくった経緯を思い出そうとしても、正直言って、何も言えないんだよ。ただ「いい曲をつくろう」と思っただけだし、その時の気持ちを素直に表そうと思っただけだから。でも、これは「つづれ織り~」(※10)に限らない話だけど、曲が持つ説得力という意味では、今のほうがあるかもしれないね。
※10:「つづれ織り~so far and yet so close~」
2005年1月19日発売『Ballad Best Singles WHITE ROAD』が初出。
最新アルバム『MUSIC LIFE』発売にあたり募集した「GLAYを初めて聴く人にオススメしたいバラード」第1位に輝いた。同アルバムの【2CD豪華盤 BALLADE BEST☆MELODIES】に収録されている。
――そして、10年ぶりの東京ドーム公演が5月30日・31日に開催されますね。おめでとうございます!
TAKURO:いやあ、東京ドームって予約取るの大変なんだね! ライヴをしたいというミュージシャンの誰に訊いても、申し込んでもなかなか日にちが決まらない、という話を聞くから(笑)。
――どんなライヴになりそうでしょうか?
TAKURO:タイトルが『20th Anniversary Final GLAY in TOKYO DOME 2015 Miracle Music Hunt Forever』ですから、もうこれだけで、俺たちがどれだけ今のアリーナツアー(『GLAY ARENA TOUR 2014-2015 Miracle Music Hunt』)を好きで、楽しんでいるかを分かってもらえると思います。EXPOは、自分たちの魂の部分の象徴だったわけだよね。音楽的に云々というよりは、GLAYのバンドとしての姿勢の根本というか、「こういうことがしたいから、俺たちはEXPOをやるんだ」というものだった。そして、音楽的な楽しさの象徴は『Miracle Music Hunt』なわけで。曲に合った映像をつくり、もっと笑顔を引っ張り出せるように、と考えてね。昨日そういえば誰かに褒められたな。「FAME IS DEAD」(※10)の俺の悪徳プロモーターの役作りが完璧すぎて「憎たらしい!」って(笑)。とにかく、EXPOで宣言したような、自分たちの魂の部分はもう理解してもらえている、という自負もあるので、東京ドームでは、GLAYの"バンドとしての面白さ"、振り幅の広さ、GLAYがGLAYであることの存在理由みたいなことを示したい。あとは、20周年イヤーを締め括るファイナルとして、"お疲れ会"みたいな感じで全部出し切りたいよね。
初日は、TERUが「10年後に取りに来る」と誓ったあの白いジャケットがどうなることか…(笑)。倉庫で黄ばんでいるんだろうね(笑)。
※11:「FAME IS DEAD」
2009年10月21日発売『THE GREAT VACATION VOL.2 ~SUPER BEST OF GLAY~』収録。
MUSIC VIDEOはこちらから
最近のライブではTAKUROの荒々しいコーラスと激しいアクションに注目が集まる曲。アリーナクラスの会場では凝りに凝った映像が制作される。インタビュー中の「悪徳プロモーターの役作り」もその映像中のシーン。
20th Anniversary FINAL GLAY in TOKYO DOME
Miracle Music Hunt Forever
詳しくはコチラ
2月18日(水)23:00までローソンチケット最速先行実施中
インタビュー:大前多恵